栗本 智代
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2001年10月31日 |
栗本 智代
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都市・コミュニティ |
地域活性化 |
情報誌CEL (Vol.59) |
“松虫・東天下茶屋・北畠・姫松・帝塚山4丁目…”。阪堺電気軌道・上町線(以降、上町線)には歴史を色濃く残す美しい駅名が並ぶ。ちんちん電車とも呼ばれるこの路面電車は、昨年九月で百周年を迎えた。
落ち着いたたたずまいの松虫から北畠界隈は、熊野街道を軸とした歴史の散歩道が整備されるだけでなく、貴重な史跡が住民の健闘で残されている。その南に隣接する帝塚山は、帝塚山古墳を中心に、現在の南海電鉄高野線と上町線の間に広がる邸宅街をさす地名として使われており、東成郡住吉村が大阪市に編入された折、阿倍野区と住吉区にまたがる形となった。当初は、姫松を中心に、北限は北畠から住吉高校、南は帝塚山学院あたりまでを呼んでいたようだが、今では境界が曖昧になり、帝塚山と呼ばれる地域がやや広がっているようである。かつて、高級住宅街・学園都市として、しゃれたお店が多いことでも有名であった。大学の移転などで、その華やぎが失われたという声もあるが、近年、新たな展開を見せている。
今回、ちんちん電車に乗って、松虫から帝塚山を探索することにした。小さな店を覗きながら歩く。由緒ある神社もある。大きな邸宅が美しいまちなみをつくっている。どの通りも明るくゴミがない。そんなこの界隈の素顔や取り組みをとらえ、時代を超えたまちの不易と流行を考えてみたい。