前市岡 楽正
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
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2001年06月25日 |
前市岡 楽正
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エネルギー・環境 |
地球環境 |
CELレポート (Vol.10) |
【目次】
1.自然科学的事実としての温暖化<CELレポート?1>
2.南北間の公平性<CELレポート?2>
3.世代間の公平性<CELレポート?3>
4.原発という選択(その1) <CELレポート?5>
5.原発という選択(その2) <CELレポート?6>
6.地球温暖化対策(その1) <CELレポート?8>
7.地球温暖化対策(その2)<CELレポート?9>
8.地球温暖化対策(その3) ――2 つの基本政策
(1)環境政策一覧
(2)直接規制と経済的手段
(3) 税と排出権取引
(4) エネルギーの漸進的高価格政策――基本政策?
(5)社会的基盤づくり政策――基本政策?
おわりに
【要旨】
8.地球温暖化対策(その3) ――2 つの基本政策
・ 本章の目的は地球温暖化問題の国内における基本政策は何かである。基本政策としては大きく直接規制と経済的手段の2 つが考えられるが、静学的効率性,技術革新へのインセンティブ、二酸化炭素排出行動の多種多様性を主な理由として、経済的手段が望ましいとの主張が有力であり,いくつかの留保の下に筆者もこれに同意する。
・ 次に、経済的手段のうちの2 つの主要な政策は税と排出権取引であるが,筆者は税が望ましいと考える。税に比べて排出権取引が優れているとされる諸点(排出許容量達成の確実性、税率決定が不要,需要やコスト構造の変化による税率調整が不要)は,温暖化防止政策の現実から見るならば必ずしもメリットではない。他方、排出権取引の問題点には無視できないものがあるからである。最大の欠点は排出削減行動の指標となるべき排出権価格が不確実であることで,これでは長期的な観点からの投資は行い難い。