豊田 尚吾
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2009年06月14日 |
豊田 尚吾
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住まい・生活 |
消費生活 |
ディスカッションペーパー |
本稿は、2009年生活経済学会研究大会にて発表したものです。 |
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1.はじめに
地球環境問題をはじめとして、社会の維持可能性に対する懸念が高まっている中、政府やNPO、企業は、課題解決に資する行動を通じて、個々人の共存を可能にするような社会づくりに貢献するよう求められている。同時に、社会への配慮や、責任を意識して意思決定や行動をする消費者が注目されつつある。
社会に存在する外部性などの問題は、環境税などの経済的施策や直接規制による非経済的施策を利用して解決することが効果的であることはいうまでもない。とはいえ、社会のひずみが非常に大きくなった場合には、そのような手段に加えて、消費者の行動に対する、啓発を通じた変化促進策が一定の役割を果たすこともありえるだろう。
そうであるならば、次節で述べるような、責任ある消費(倫理的消費)を実践する消費者の研究は意味のあることだと考える。特に、本稿3節で紹介するように、損得勘定という経済原則を超えた、社会や他者に対する配慮行動に関しては、意識はしても実行につながらないのが常である。従って、その意識が行動につながるためにはどのようにすればよいのかといった検討は、今後の社会課題の深刻化を展望すれば重要なテーマであると考える。
そこで本稿は、責任ある消費(倫理的消費)を意識し、実践する消費者の、意志決定と行動に関する構造分析を行う。具体的には態度(意図)と行動の、両方の要因を加味した行動理論モデルに、実際の消費者・生活者の意識と行動のデータを当てはめ、その適否を確認する。それとともに、製品別のデータによる実証結果の比較検討によって、責任ある消費(倫理的消費)行動を阻害するような要因についての検討をしたい。