弘本 由香里
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2001年04月01日 |
弘本 由香里
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住まい・生活 |
住環境 |
CELレポート (Vol.9) |
地域のまちづくりにおいて、人間の暮らしの全体性を支えていくという意味で、住まい・住環境はその基盤となる役割を負うべきポジションにあるといえる。高齢化、地球環境問題、産業構造の転換といったマクロな社会の変化は、ミクロな生活レベル、地域レベルからの社会システムの再編という大きな変革を生み出している。本稿では、まずこれらの変化を簡単に概観した上で、北欧における生活を支える住まいづくり等の事例を通して、これからの生活者に求められる住環境の機能を探るものである。
はじめに
地方分権一括法の施行や介護保険の導入など、地域単位のまちづくりは着実に進みつつある。地域の居住を支える住宅政策もまた、こうした社会の流れの中で、大きな変化を遂げつつある。
住戸の供給を中心としたこれまでの住宅政策から、地域に暮らす生活者の多様な営みを支え、自律的な住環境づくりを可能にする、総合的な住環境政策への転換が求められているのである。
大きな潮流から見れば、近代化の過程で起きた人間と環境の関係の断絶と、その断絶が引き起こした様々な社会の課題を克服していくために、今、自然・社会・地域につながる
媒体としての住まい・住環境のあり方が求められているといえる。
こうした認識のもとに、地域という枠組みから、生活者が求める総合的な住環境のあり
方について考えてみたい。