前市岡 楽正
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
2001年04月01日 |
前市岡 楽正
|
エネルギー・環境 |
地球環境 |
CELレポート (Vol.9) |
【目次】
1.自然科学的事実としての温暖化<CELレポート?1>
2.南北間の公平性<CELレポート?2>
3.世代間の公平性<CELレポート?3>
4.原発という選択(その1) <CELレポート?5>
5.原発という選択(その2) <CELレポート?6>
6.地球温暖化対策(その1) <CELレポート?8>
7 . 地球温暖化対策( その2 ) ― 再生可能エネ・省エネ・節エネの可能性と現状
( 1 ) はじめに― ― 前回の結論と概念の整理
( 2 ) 再生可能エネルギーの可能性
( 3 ) 省エネと節エネーの可能性
( 4 ) 予測の可能性
( 5 ) エネルギー需給の現状
( 6 ) 部門別課題
8.地球温暖化対策(その3) ――基本政策<以下次号へ>
9.時短と人口抑制
【要旨】
・ 温暖化対策の3 本柱――再生可能エネルギー・省エネ・節エネの可能性については数多くの想定がある。それらについて、まず将来の再生可能エネルギーの絶対量と構成比の想定値には大きな幅がある。また、同一想定者の介入シナリオと非介入シナリオ間にも大きな差異が認められる。省エネと節エネについてもまったく同様であって、1 次エネルギーの将来(省エネと広義の節エネ)と GDP当りの1 次エネルギーの見通し(省エネと狭義の節エネ)について、想定者間および介入・非介入シナリオ間に大きな差異がみられる。これらは、見解の大きなバラツキと政策による裁量の余地が大きいことを示唆している。
・ 因果法則の世界に属する自然現象とは異なって、再生可能エネルギー・省エネ・節エネの可能性といった社会現象の「将来予測」には本来的な限界がある。加えて、温暖化で問題となるような長期の場合、モデルという形で抽象された現実の構造が安定的であることは期待できない。さらに、外生的に与えられる前提条件の妥当性を客観的に判断することはできない。むしろ重要なのは、予測や想定ではなく、どうするのかという意思であろう。温暖化問題が提起しているのは、これからの数十年は過去の延長であってはならないということであろう。再生可能エネルギー・省エネ・節エネの可能性については「やってみなければわからない」という他ない。
・ 他方、日本のエネルギー需給の推移を部門別に概観して分かることは、状況が変わらなければ(or 状況を変えなければ)、再生可能エネルギーの導入は大して進まないであろうし、エネルギー消費は増えつづけるだろう、ということである。