弘本 由香里
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2000年12月31日 |
弘本 由香里
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エネルギー・環境 |
環境対応 |
情報誌CEL (Vol.55) |
社会のギアチェンジ
一九九七年豊中市内(大阪府)、とある会議の場で、私は一人の参加者の発言に胸をつかれる思いがしたのを今でもよく覚えている。とよなか市民環境会議による「豊中アジェンダ21(地球環境を守る豊中市民行動計画)」作りに向けた策定作業部会でのひとこまである。大半の量販店で使われているレジ袋や容器包装を巡る議論の後、「行政はゴミ減量に必死の思いをしている。量販店も過剰なサービスを望んでしているわけではない。消費者が要求するから止められない。私たち市民だけがこんなに無責任な状態でいいのでしょうか。市民も責任を負わなければならないでしょう」と発言したのは、同市民会議のワーキンググループ座長で作業部会メンバーの奥野亨氏だった。行政や企業に依存して要求をするだけでなく、当事者である自分自身(市民自身)の意識と行動を変えねばならないという、内発的な叫びであり決意の表明であった。今、その発言を振り返って改めて、あの時すでに会議のメンバーは本来の意味での「ローカルアジェンダ21」を目指して、ギアチェンジをしていたのだなと思うのである。それは、「地球環境と経済と地域の発展の調和=持続可能な発展」を実現するために欠くことのできない、実のある市民参加とパートナーシップの胎動だった。
ローカルアジェンダ21とは何か
そこで、そもそも「ローカルアジェンダ21」とは何なのか、簡単にふれておきたい。「ローカルアジェンダ21」の前提に、「アジェンダ21」がある。”アジェンダ(agenda)“とは、「課題」あるいは「今から取り組んでいくべき課題一覧」の意だが、「アジェンダ21」とは、文字どおり「二一世紀に向けての課題」。その出自は、一九九二年、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された「地球サミット(環境と開発に関する国連会議)」。同サミットで合意された文書の中のひとつが、「アジェンダ21」であり、いわば「持続可能な発展」を実現するため、世界に向けて発せられた行動原則である。