豊田 尚吾
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2000年12月31日 |
豊田 尚吾
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エネルギー・環境 |
環境対応 |
情報誌CEL (Vol.55) |
「環境」というテーマは、身近なゴミ問題から地球環境問題に至るまで実に幅広い。拙稿ではまず、温室効果ガスによる地球温暖化問題に的を絞り、それを概観する。そこでは経済学者の多くが排出権取引を重視する。これはなぜなのだろうか?経済学的な考え方と一般的な見方との相違はしばしば両者の誤解と不毛な議論を導いてしまう。経済学者と我々市民との無用な誤解や対立を避けるためには、両者の基本的な考え方の相違を明らかにし、建設的な議論を行う土台を作らなければならない。拙稿の目的は、その第一歩として、両者間の認識ギャップを解消することにある。
地球温暖化問題とは
周知の通り、地球温暖化問題とは、人間の生産及び消費活動において排出されるCO2 (二酸化炭素)などの温室効果ガスが、時系列的な気温の上昇を招き、それが海抜の上昇、劇的な気候変動などを通じ、農業への打撃、疫病の蔓延など、望ましくない事態を引き起こすと懸念される問題である。地球温暖化問題に関しては、一九九二年の地球サミット、九四年の気候変動枠組条約の発効などを機に一般にも関心が持たれはじめたが、特に強烈な印象を与えたのは九七年に京都で行われたCOP3であろう。
COPとはConference of Parties(締約国会議)の略であり、京都会議で有名になったCOP3とは、その第三回(The Third Session)という意味である。では何に関する締約国かというと、前述の「気候変動枠組条約(UNFCC :UNFramework ConventiononChange)」であり、京都会議がなぜ大きな話題になったかといえば、「京都議定書」という形で温室効果ガスの排出削減について「数値目標」が設定されたからである。