安達 純
2000年04月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2000年04月01日 |
安達 純 |
住まい・生活 |
その他 |
CELレポート (Vol.5) |
最小の資源の投入で最大の生活満足が得られる社会を目指すためには何が必要か、という喫緊の課題に答えようというのが、この本の狙いである。
製品の価値を資源消費量で割ったものが資源生産性であるが、資源消費量はおおよそ環境負荷に比例するため、この資源生産性は「環境効率」と言い換えることができる。そして環境効率がどれだけ改善されたかを「ファクターX」という言葉で表現してみる。例えばファクター2は、環境効率が2倍になるということである。
ここで著者は、従来のような果てしない生産と消費のシステムを止め、環境効率を現在の10倍さらには20 倍に高めること、つまり「ファクター10」「ファクター20」を実現しなければ、2020 年には地球の限界に激突してしまうであろうと強く警告する。
しかし、ファクター10あるいはファクター20を実現することなど、実際のところ可能なのだろうか。著者は、持続可能性に関する科学と技術の進歩、そして高まる環境啓蒙によって、最終的には地球環境問題は解決されるだろうと言う。そのために特に、企業の役割と手法の重要性を強調する。
市民生活は今や完全に、企業が開発した技術(商品、サービス)に依存しており、企業は市民のライフスタイルまで提案するに至っている。従って企業が地球環境問題解決の鍵を握っており、企業が「エコデザイン」(環境に調和した設計・生産)を徹底して推進することが極めて重要である。現在、消費者や行政あるいは企業がエコデザインされた製品・サービスを優先的に購入するグリーン購入や、環境効率経営を推進する企業の株をポートフォリオに取り込むエコファンドなどが普及しつつある。21世紀はこうした事態がもっと進み、環境管理・環境経営が企業の死命を制するようになる。