豊田 尚吾
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2000年03月31日 |
豊田 尚吾
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都市・コミュニティ |
地域活性化 |
CELレポート (Vol.5) |
要約
本レポートでは全国と各地域の産業連関表を用いて、主に関西と、関西の公益事業に関する基礎的な経済分析を行う。
第一に産業連関表に関する簡単な解説、第二に影響力係数など基本的な指標を用いた分析、第三に産業連関表とマクロモデルを併用した産業構造の予測を行う。
結論は以下の通り。第一に東京が全国とほぼ同様の構造をしているのに対し、関西が素材産業の影響力が大きいなどの特徴を持つ。第二に関西の中でも大阪、京都などの地域別で見てかなりの差異があり、政策等を考える場合には地域の独自性を十分に考慮する必要がある。第三にガス産業と比較して電力産業の持つ影響力が大きい。第四に2010年ビジョンでのガス需要予測は産業連関分析の試算とほぼ整合的であるが、それには様々な前提が背景で成り立っていなければならず、それらを常にウォッチしておくことで2010年ビジョンの妥当性を評価することができる。
1. はじめに
21世紀を目前にして、関西のビジョンづくりが相次いでいる。関西経済連合会が関西経済再生シナリオ(1999年12月)を、日本経済新聞社は関西21世紀戦略委員会の提言(2000年1月)を発表した。当社の2010年ビジョンも、不可欠な前提として、関西経済の将来性に対して予測を試みている。関西経済の将来が展望されているこの時期に、本レポートでは地域産業連関表を用いて主にガス、電気、水道業などの公益事業との関わりを中心に関西経済を論ずる。具体的には第一に、「産業連関表」とは何かを簡単に説明したうえで、第二に、産業連関表の中でも都道府県レベルの表を用い、基礎的な諸係数(影響力係数、生産誘発係数など)を計算することにより、関西経済の特徴、関西におけるガス・電力・水道業の特徴を明らかにする。最後に産業連関表とマクロモデルを組み合わせ、産業構造の予測を行う。さらに昨年、当社の2010年ビジョンで長期のガス需要予測を行っているが、それとの比較検討を行う。以上、全体としてファクト・ファインディングを中心としたレポートである。