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情報誌CEL

筒井 義郎

2009年09月28日

持続可能性と幸福感

作成年月日

執筆者名

研究領域

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媒体(Vol.)

備考

2009年09月28日

筒井 義郎

住まい・生活
エネルギー・環境

ライフスタイル
地域環境

情報誌CEL (Vol.90)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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持続可能性とは何かを考えることから本稿を始めよう。個人の生活における持続可能性とは、現在だけでなく、人生の終わりに至るまで、安定して満足できる生活を送ることである。生活の糧を得るには、老後のために貯蓄する必要があるし、物質的な満足と精神的な満足のバランスを考えて職業と趣味の両立を図ることも重要である。アリとキリギリスの寓話は、幸福な生活の持続可能性の問題を分かりやすく教えてくれる。つまり、持続可能でない逸楽にふけることは、人生の落伍者になることを意味する。

一国の繁栄の持続可能性とは何であろう。一国の経済にも、「苦あらば楽あり、楽あらば苦あり」の言葉が当てはまるだろうか?Yesの例は容易に見つけられる。ソ連は革命後の経済計画において、基幹産業の構築を優先し、消費財生産を後回しにした。日本の戦後復興計画においても、苦あらば楽ありの「傾斜生産方式」が採用された。これらは、持続可能性そのものではないが、現在我慢して、将来の発展を促そうとした点で似ている。国際的な摩擦・対立が、ある国の経済の持続可能性に影響することは多い。戦前における日本の対外進出は、短期的には不況にあえぐ当時の日本経済を潤したが、近隣諸国の犠牲を前提とする進出(侵略)が長続きするはずもなかった。1980年代の貿易摩擦もその例であり、自動車産業や電気機器産業は輸出先の国の雇用を減らさないように、現地生産方式に切り替えたのである。しかし、経済の持続的成長のために、人口構成の変化や資源の枯渇、技術進歩によって登場した新たな財を生産する産業へのシフトなどにどのように対処すべきかは、十分に明らかになっていないように思われる。たとえば、高齢化の急速な進展が、日本経済にどのようなインパクトを持つかは、検討すべき喫緊の課題である。

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