情報誌CEL
山下 満智子
Dr.Ingrid Haslinger 宇野 佳子
2009年09月28日
連載 食卓の喜び 第2回 ロココの食卓(1750年)
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
2009年09月28日
|
山下 満智子
Dr.Ingrid Haslinger 宇野 佳子 |
住まい・生活
|
食生活
その他
|
情報誌CEL
(Vol.90) |
|
ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。
ロココの食卓(1750年)
―女帝マリア=テレジアと一族を迎えた壮麗なもてなし―
1740年のマリア・テレジア(1717-1780)とフランツ=ヨーゼフ・フォン・ロートリンゲン公(1708-1765)のご成婚以来、ウィーン宮廷や貴族の館において、フランスの料理や食卓文化の影響は、ゆるぎないものとなっていた。
1750年、女帝マリア=テレジアと夫君の神聖ローマ帝国皇帝フランツ一世は、シュロスホーフ宮殿に滞在し、ヒルトブルクハウゼン公の壮麗なもてなしを受けた。そのもてなしの壮麗さを文献は、以下のように記録する。
「今を去る9月23日月曜日午後、もったいなくも両陛下におかれては、ご一族のカール大公殿下やマリア=アンナ大公女殿下、マリア=クリステーィーナ大公女殿下とともに、ハンガリーの町ホリチから郵便馬車で、ここニーダーエーストライヒのシュロスホーフ宮殿にお着きになった。両陛下は、両陛下ならびにお連れの皆様、総勢32名の方々のために整えられた大広間の食卓にご着席になられた。両陛下の食卓は申すまでもなく、その他に整えられた17の食卓にも実にさまざまな国のワインがあたかも湧き出る泉のように振舞われた。(中略)両陛下や同じ食卓にご着席になられた方々は、『とても珍しい砂糖細工が飾られたいた。大層気持ちのよいもてなしであった。大層な人数の給仕にもかかわらず、すべて秩序ただしく円滑に進められ何一つとして欠けているものがなく、すべてにおいて満ち足りていた。大いなる至福と満足の時間であった。眠気をもよおすようなことは宴がはてた帰りにさえなかった』と口々に証言なさったのである。」
当時の食卓には、しばしば神話をテーマにした砂糖細工や装飾的な観賞用の料理が飾られた。それを作るために、莫大な費用がかけられたのである。