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情報誌CEL

渥美 公秀

2010年01月08日

減災コミュニケーションとボランティア文化

作成年月日

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2010年01月08日

渥美 公秀

都市・コミュニティ

まちづくり
地域ガバナンス
コミュニティ・デザイン

情報誌CEL (Vol.91)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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減災という言葉は、まだ必ずしも人口に膾炙(かいしゃ)しているとは言い難い。また、コミュニケーションやボランティアもかなり多義的な用語である。ボランティア文化となればなおさらである。そこで、本稿では、まず言葉の意味を整理した上で、これからの災害に備えるためのポイントを指摘してみたい。
―災害前から災害後まで広がる減災―
未曾有の被害をもたらした阪神・淡路大震災(1995年)を契機として、専門家や災害ボランティアの間では、それまでの「災害を防ぐ」という考え方から、「災害そのものは?防ぐ“ことは困難なので、災害による被害を?軽減“することを目指す」という発想へと考え方が変わってきた。つまり、防災から減災へ、というわけである。確かに、ここ15年間に多発した災害を見れば、災害を防ぐよりも被害を減じるという発想の方が現実的なように思える。しかし、防災という言葉を減災という言葉に置き換えただけでは、減災という言葉の含意を十分に活かせない。減災という発想は、災害が起こる前の備えとしての防災以外にも、災害が発生した後の救援や復旧、復興にも活か せるものである。
災害は、災害の発生、直後の救急救命期、避難所が開設され応急仮設住宅での生活へとつながっていく復旧期、そして、住宅再建や街並みの再生はもとより産業の活性化や教育の充実、さらには年中行事などの再開までもが視野に入ってくる復興期、そして、いつか発生するだろう災害に向けた防災活動までサイクルを描く。防災を減災に置き換えたのでは、このサイクルの最後にある防災の時期だけに特化することになる。
現実には、救急救命であっても(あるからこそ)被害を最小限にするために、さらに迅速で有効な方法が模索されている。復旧期における避難所での生活や仮設住宅への移転についても、ハード面(例えば、避難所の設備)、ソフト面(例えば、避難所運営)ともにまだまだ改善の余地が残されている。また、生活の復興については、15年前の阪神・淡路大震災の被災地が未だ十分に復興したとは言えないことを持ち出すまでもなく、今後検討すべき問題は山積している。
となれば、減災を何も防災活動に限定して用いる必然性はない。むしろ、救急救命から復興、そして防災にいたるまでの災害サイクルの全般について、その現状の打開と改善を指して減災とした方が良かろう。そこで、本稿では、減災を災害前から災害後までを射程に入れて、各場面の現状を改善していく活動を意味するものであると定義しておきたい。
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