情報誌CEL
「クロスロード」を活用したリスク・コミュニケーション
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
2010年01月08日
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吉川 肇子 |
都市・コミュニティ
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まちづくり
地域ガバナンス
コミュニティ・デザイン
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情報誌CEL
(Vol.91) |
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「クロスロード」(Crossroad、登録商標)は、防災・減災について学ぶために制作された机上訓練(tabletop exercise)型のゲームである。
基本的には5人1組となって実施するものである。トランプ大のカードに、災害のさまざまなジレンマ状況が記されており(PDFデータ図1参照)、プレーヤはそれぞれの状況で、「イエス」または「ノー」で表現される二者択一の選択肢のいずれを選ぶかを決定する。通常、多数派の意見であったプレーヤがポイント(青い座布団)を獲得する。ただし、グループの中でただ1人だけ別の意見の場合は、通常の多数派ではなく、この少数意見のプレーヤがポイント(金色の座布団)を獲得する(PDFデータ図2)。
現在京都大学生協から公表販売されているものには、「神戸編・一般編」および「市民編」、「災害ボランティア編」がある。最初に公表された「神戸編」は、1995年の阪神・淡路大震災を神戸市職員として体験した人々を対象としたインタビューを基にしている。このインタビューの中から、「あちら立てればこちら立たず」というジレンマ状況にある2つの選択肢間での意思決定を、問題として再構成し、カード化したものである。
販売開始から約5年を経過して、その正確な実施回数は把握できないものの、全国でおそらく数万人の人が体験したと思われる。また、英語版、ドイツ語版などにも翻訳され、アジア・ヨーロッパ各国でも実施されるようになってきた。率直に言えば、制作者である私たちの予想を遙かに超えた実施回数と地域的な広がりを見せている。