鷲谷 いづみ
2010年03月26日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
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2010年03月26日 |
鷲谷 いづみ |
都市・コミュニティ |
まちづくり |
情報誌CEL (Vol.92) |
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20世紀初頭には、世界の都市人口は1億6千万人程度で、総人口の1割に過ぎなかった。その後、人口の集中が進み、今日では世界の人口のおよそ半数は都市に住む。したがって、多くの人々が日常的にその恩恵を享受することのできる「生物多様性に富む地域づくり」は、都市においてこそ、その効果が大きい。圧倒的な世界第1位の都市人口3千5百万人を有する東京(都市圏)は、世界的な水準からみて、この分野では誇るべきことや、語るべきことが少ない。それに対して現在の都市人口850万人のロンドンは、ビクトリア時代から今風にいえば「生物多様性に富む地域づくり」がめざされ、実績も豊富であるばかりか現在、いくつもの再生プログラムが進められている。それは、英国の「国家生物多様性行動計画(national
biodiversity action plan)」にしたがって1996年(平成8年)に策定された「ロンドン生物多様性パートナーシップ(London
Biodiversity Partnership)」〈http://www.lbp.org.uk/〉にもとづく多様な主体が連携しての自然再生である。
本稿では、都市における自然再生の目標に関する保全生態学的な洞察を簡単に記したうえで、実例としてロンドン市における取り組みを紹介する。