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情報誌CEL

竹本 徳子

2010年03月26日

企業における生物多様性の保全活動とその意味

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2010年03月26日

竹本 徳子

エネルギー・環境
都市・コミュニティ

地球環境
まちづくり

情報誌CEL (Vol.92)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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 2010年は、「国際生物多様性年」さらに、日本が議長国となる生物多様性条約第10回締約国会議COP10の開催の年とあって、さぞかし、「生物多様性」の文字が新聞やテレビを賑わすことだろうと思いきや、さにあらず。ほとんど話題にもならなかった。
 そもそも生物多様性が何かを理解するのが難しい。この言葉の響きからは、単に絶滅危惧種の保全のことと誤解されやすい。
 一言でいえば、人間も含めた様々な種類の生物がつながりを持って存在している状態のことだと環境省はいう。生物多様性条約では種の多様性、遺伝子の多様性、そしてそれらの生物の住処となる海・山・川などを含む生態系の多様性のことをさしている。
 実は、私たちの毎日の暮らしは、この多様な生物たちのおかげで、水、酸素、食料、木材、医薬品、また自然災害の防止や気候の安定化をもたらす森林の恵みなど、様々な自然の恵み(生態系サービス)に支えられているのである。
 ところが、2005年に国連の提案でまとめられた「ミレニアム生態系評価」では、「過去50年間に生物多様性がもはや提供できなくなるほどに損なわれてしまっており、その回復には相当思い切った政策の転換が必要である」と報告された。
 急激な人口増加や、経済発展にともなう生物資源の乱獲、農薬などによる河川・海域の汚染、生息地を奪う土地利用・開発、外来種の持ち込みなど主な原因は人間、つまり企業の事業活動といえる。自然の回復力、自浄能力が人間の収奪・破壊のスピードについていけなくなっているのだ。にもかかわらず、2009年環境goo会員調査によると、生物多様性に関する環境問題に責任を持って解決する主体はだれかという問いに、「企業」と答えたのはたった12%で16項目中、最下位。逆に「わからない」という回答が21%で一番多い。認知度の低さと対策の遅れを表している(PDFデータ表1)。
 一度損なわれた生物多様性を取り戻すためには、途方もない時間とコストが必要となる。企業にとっては、原材料調達ができなくなり、操業ができなくなる可能性もある。そのほか財務リスク、ブランドイメージ被害など様々なリスクが想定される(PDFデータ図1)。
 日本の産業は多くの資源を海外に依存している。たとえば木材は8割、食品はカロリーベースで6割にのぼる。安い買い付けができれば利益は増えるが、後で違法伐採による木材だと判明したり、原材料表示の偽装につながるリスクをかかえることになり、ブランドイメージを著しく傷つける要因ともなりかねない。

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