森下 正博
2010年03月26日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2010年03月26日 |
森下 正博 |
住まい・生活 |
食生活 |
情報誌CEL (Vol.92) |
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1992(平成4)年に開催された「好きやねん なにわの野菜」シンポジウムが契機となり、1997年の天王寺蕪に続いて毛馬胡瓜、田辺大根、勝間南瓜、玉造黒門越瓜など、失われていた野菜種が復活し、現在17品目が大阪府の「なにわの伝統野菜」として認証されている。
これと同時に、伝統野菜の発祥地域に係わりのある幼稚園や小・中学校において、食農教育として、伝統野菜の栽培への取り組み、販売体験、あるいは「わては天王寺かぶらでっせ」の劇や「なにわ伝統野菜」の歌などが誕生している。さらに、田辺大根、天王寺蕪や玉造黒門越瓜の石碑が、それぞれの伝統野菜にいわれをもつ神社や寺で建立され、地域の商店街のイベントなどでも伝統野菜は大活躍している。また、伝統野菜は、伝統飴野菜、大ちゃんパン、天王寺蕪焼酎、こつまなんきん天、勝間南瓜ムース、毛馬胡瓜ゼリー、田辺大根こんぶなどの加工食品、さらに料飲業界での新メニュー開発などが進み、その需要に対する農家の生産が増加している。そして、これら食品業界と農家の連携は、都市域と農村地域の間の調和やコンセンサスを深め、消費者や生産者にとっても食を見直すきっかけとなっている。
人間もその地域の気候風土に生きる一生き物であり、育み続けてくれたのは周りにあった食物で、その1つに伝統野菜と呼ばれる「地域の在来品種」がある。これらの野菜、穀類、果物、茸および、海や川や湖の魚、鶏や獣肉など、日常茶飯の食べ物がそこに住む人々にとって体に優しく適切なものと言え、健康の源であった。