多木 秀雄
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2010年03月26日 |
多木 秀雄
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エネルギー・環境 |
地球環境 |
情報誌CEL (Vol.92) |
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生物多様性という言葉を耳にする機会は増えてきた。ただ、その意味、問題をきちんと理解できている人はまだ多くないと思われる。
「生物多様性の保全」は、地球温暖化の防止とともに、私たち人間が地球上において持続可能な生活を送ってゆくうえで、ひじょうに重要な問題である。今年の10月には、愛知県名古屋市において、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催される予定であり、地球温暖化問題と同じように、問題に対する国際的な取り組みの枠組みが議論されることになっている。
今回の特集では、この「生物多様性の保全」に焦点を当て、その本質的な意味を考えるとともに、私たち生活者が自分が住む地域近隣の人々をはじめ、行政、研究者・専門家、NPO、企業等と連携しながら、これにいかに対処し、地球規模での持続可能な社会を構築してゆくべきかを問いかけるものとした。
「生物多様性の保全」に関する国内外での議論・取り決め
1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(地球サミット)において、気候変動枠組み条約とともに、生物多様性条約が採択され、168カ国が条約に署名した。条約は93年に発効し、2009年12月現在、日本を含む192カ国とEUがこの条約に加盟している。米国は批准せず、加盟もしていない。同条約の中では、生物多様性は、種内の遺伝子の多様性、種の多様性、生態系の多様性の3つのレベルの多様性を保全する必要性が指摘された。日本は93年に生物多様性条約を批准し、この条約の履行を担保するための国内法として、2008年6月に生物多様性基本法が成立・施行された。生物多様性条約は、締約国が生物多様性国家戦略を策定するよう求めており、日本では95年に第一次、02年に第二次、07年に第三次戦略が閣議決定された。