豊田 尚吾
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
2008年06月12日 |
豊田 尚吾
|
住まい・生活 |
消費生活 |
新聞・雑誌・書籍 |
2010年4月15日 新規登録 |
ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。
産経新聞 夕刊(大阪)2008年6月12日掲載
生活者はさまざまな試練に直面しています。最近も後期高齢者医療制度、原油や一次産品の価格上昇、輸入食材や高級料亭に対する不審などが身近な話題となっています。ガソリン税暫定税率に関する騒動をきっかけに、ガソリン1リットルに50円以上の税金がかかっていることを知った方も多いのではないかと思います。このような状況を生活者が克服するためには何が必要なのでしょうか。
好景気が来れば何とかなるとの安心感があった昔とは違って、現在はじっと我慢していても事態がよくなるという期待を持ちにくくなっています。それは高度成長期が終わり、日本が少子高齢社会となりつつあることや、グローバル化が進展し、かつての発展途上国が手ごわい競争相手として成長してきているなどという時代背景と無関係ではありません。
ならば生活者も工夫が必要です。限られた収入の範囲内で支出を賄い、来るべき老後に備える。仕事と生活のバランスをとりつつ、生活の豊かさを追求する。そんな生活全般にわたる見直しが求められているのです。
今までの生活者論といえば、お金の節約や衣食住に関するノウハウなどが主なテーマでした。しかし今後はそれだけでは不十分です。成熟社会で豊かに生き抜くために、新たな課題に取り組むことは避けられません。いくつかのキーワードを挙げるならば、日常の危険回避策などの各種生活リテラシーを身につける。ライフイベントに基づいた生活設計をたてる。自らの非合理性を理解して行動に気をつける。社会人としてコミュニティーの維持にコミットする。聞きなれない言葉が多いかもしれませんが、今後詳しく論じたいと思います。
現在のような先行きが見通しにくい時代に必要なことは、日常の小さな出来事から、その背景にある大きな意味を読み解く力です。そのためにイマジネーション(想像力)を駆使して生活者を取り巻くいろいろな課題を論じていく。それがこの「生き方セオリー」の目的です。
(大阪ガス エネルギー・文化研究所主席研究員 豊田尚吾)
◇
【プロフィル】豊田尚吾
とよた・しょうご 昭和37年生まれ、大阪大学経済学部卒。日本経済研究センター、コロンビア大学東アジア研究所、学習院大学経済学部特別客員教授などを経て現職。