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豊田 尚吾

2008年07月24日

「不確実時代の生き方セオリー(4)」ギャンブルは投資ではなく消費

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2008年07月24日

豊田 尚吾

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2010年4月23日新規登録

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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 サマージャンボ宝くじが発売開始になりました。実は宝くじを含むギャンブルは昔から学者たちを悩ませてきた事象なのです。合理的な判断の基本は、ある商品の費用とそれから得られる便益(満足感)を比べて後者の方が大きければそれを選ぶということです。価格(費用)よりも欲しいという気持ち(便益)が大きいから宝くじを買うのだと理解します。

 もしその便益が今の段階では不確定ならば期待値(平均値)というものを使います。例えば宝くじで100枚中1枚だけが当たり、その当せん額が10万円とします。その期待値は10万円に100分の1の当せん確率をかけた1000円になります。つまりこのくじは平均的には1000円の当せん額が期待できることになり、くじが1枚1000円以下なら買ってもよいと考えます。

 ところがそれでは説明のつかない事例が続出しました。そこで学者たちは、当せん額そのものではなくそれに対する喜びを便益とすべきだとか、人は自分の当せん確率を過大に考える傾向があるといった、期待値理論の矛盾を克服するための新しい考え方を作り出していったのです。

 しかし、今述べた理論は当せん額だけが便益のすべてだという考えを前提にしています。本当にそうでしょうか。多くの人は、宝くじは発行元(国など)が収益を得て自分たちは平均的に損をすることを知っています。それでも楽しいから宝くじを買うのです。つまり彼らは宝くじを、お金を運用する「投資」の対象とは見ていないのです。実際、総務省発行の家計調査では、「他の教養娯楽サービスのその他」に「宝くじ、競輪・競馬の券」が分類されています。ギャンブルは消費なのです。であれば楽しさやワクワク感を便益に含めて考えるべきでしょう。

 今回の生き方セオリーは、ギャンブルはあくまで消費。投資だと思ってのめりこまず、ワクワク感に見合う分だけ買えばよいということです。適切な額は人それぞれですが、家計調査では年平均9000円以下といったところです。くれぐれも当せん金を当てにせず、宝くじを楽しんでください。

(大阪ガス エネルギー・文化研究所主席研究員 豊田尚吾)

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