豊田 尚吾
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研究領域 |
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備考 |
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2008年07月10日 |
豊田 尚吾
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エネルギー・環境 |
再生可能エネルギー |
新聞・雑誌・書籍 |
2010年4月23日新規登録 |
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原油価格が大幅に値上がりし、1バレルが140ドルを超えたと話題になっています。1バレルというのは約160リットルで、それが現在は約1万5000円になっています。この原油価格の動きは投機の影響が大きく、本来望ましくない混乱を市場にもたらしているといわれています。
しかし、これがエネルギー問題に対する関心を高め、代替エネルギーの開発を加速させることになるのであれば、悪いことばかりではないのかもしれません。実際、30年以上前のオイルショック時も、それを機に省エネ型経済構造への転換が進みました。
最近、太陽光発電設備工場建設のニュースや燃料電池、バイオ燃料などの話題をメディアが数多く取り上げています。石油を代替する新エネルギーは高くて採算に合わないとされてきましたが、原油価格の高騰でそれが競争力を持つ可能性がでてきたのです。チャンスと見れば企業もその開発にお金を集中して投じます。結果として技術開発も促進されるという好循環が生まれます。
さらに政府が再生可能エネルギーに関する新料金制度を検討するという話もあります。その詳細は不明ですが、ドイツで採用され効果をあげている制度でいえば、太陽光発電などで作った再生可能エネルギーを電力会社が高く買い取り、そのために必要な追加費用を一般の電気料金に上乗せするというものです。そうなれば現在200万円程度する家庭用の太陽光発電設備の投資も元が取れる可能性が高くなり、設置数が飛躍的に増えることが期待できます。他にも太陽光発電設備に補助金を支給(一時期中断していたものを再開)することも提案されています。
このように市場の動向や政策面での後押しが、エネルギー価格の変化を通じて、企業や生活者の行動を変える呼び水になります。当然のことですが、人が損得勘定で動くというのは生活する上で無視できないセオリーです。そしてこれが市場に革新をもたらすダイナミズム(活力)にもなるのです。
(大阪ガス エネルギー・文化研究所主席研究員 豊田尚吾)