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情報誌CEL

高田ケラー有子

2010年07月01日

個を尊重するデンマークの家族形態

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2010年07月01日

高田ケラー有子

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情報誌CEL (Vol.93)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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-戸籍のない家族-
 ちょうど13年前、39歳になった私はデンマーク人と再婚し、その年の暮れに男の子を出産しました。夫も再婚でしたが移住、結婚、出産と、それぞれの事務手続きがある中で、移住当初からさまざまな戸惑いと驚きを感じてきました。
 まず、結婚。2人とも再婚だったため、デンマークでの結婚の手続きには「離婚証明書」なるものが必要でした。デンマークでは、そういう書類が存在するのですが、日本にはありません。ないものを私的に作るわけにも行かず、それに相当するものとして、戸籍謄本の英訳を自分で付けることで、その書類に代えました。
 この時初めて、日本でその存在を当たり前に思っていた「戸籍」というものが、この国には存在しないことを知りました。
 婚姻届は、何々家の戸籍に入る、という感覚ではなく、夫と私という個人と個人が登録上繋がるという形になるだけで、家族を単位とした書類が新しく作られるわけではないことをとても新鮮に感じました。
 私が名乗る名字も、3つの選択肢から自由に選ぶことができ、登録する際にどうするかを決めます。旧姓であるTAKADAをそのまま名乗ってもいいし、ミドルネームにしてもいいし、夫の姓であるKELLERだけにしてもよい、という3つの選択肢です。
 私は、ミドルネームにTAKADAを残し、YUKO TAKADA KELLERとして結婚の登録をしました。生まれた息子は、両方の姓を受け継ぐ形で、名前以外は私と同じになりました。これも私の姓だけを受け継いでもいいし、夫の姓だけを受け継いでもよく、親子でも姓の違うケースもあります。
 デンマークでは、CPRナンバーという生まれた時に与えられる個人個人の個別番号があるのですが(外国人は居住就労ビザの発行と同時に取得)、その番号で税金や病院、銀行のシステムなど全て管理されており、税務上で言うと、2つのCPRナンバーが、夫婦として繋がるように登録され、それが税務処理上の夫婦=結婚、ということになります。この登録をしているのは同居しているカップルの約80%で、残りの20%は夫婦であってもこの登録をしていないので、書類上では結婚をしていない、ということになります。
 出産の報告は、昔は教会に登録するシステムでしたが、現在は、生まれると同時に赤ちゃんを取り上げた助産婦が(デンマークでは出産は助産婦が仕切ります)、コンピュータで登録をしてCPRナンバーを取得し、両親は決めた名前とCPRナンバーをインターネットで登録することで、出生届が完了します(教会に報告する方法も残っています)。つまり、役所が個人のCPRナンバーで全て管理しているので、私という個人をCPRナンバーで検索すると、夫は誰で子どもは誰、というデータは出て来ますが、私たち3人が1つになった家族の書類はありません。

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