弘本 由香里
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2010年07月01日 |
弘本 由香里
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都市・コミュニティ |
コミュニティ・デザイン |
情報誌CEL (Vol.93) |
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-はじめに-
当連載のフィールドである上町台地界隈には、これまでも繰り返し紹介してきたように、多くの学校や神社・寺院をはじめ、たくさんの長屋が残るまちやコリアタウンなど、多彩な地域資源の魅力的な集積がある。一方で、高齢化や世帯の小規模化、マンション居住者の急増などを背景にした、新たな地域の課題も浮かび上がってきている。かつて地域が担ってきた安心・安全を支える力が及ばない対象や見守りの隙間が静かに増大しつつある。こうした認識のもとに、NEXT21第3フェーズ居住実験の一環として、「U-CoRoプロジェクト」(※1)を展開してきた。
地域の生活単位のありよう自体が大きく変化していくなかで、地域の力を引き出していく、ソーシャル・キャピタルの再構築のためには、つながりのデザインの回路が欠かせない。それが、U-CoRoプロジェクトを貫く考え方である。当連載第18話では、とりわけ重要な基盤となっていく「自己と風土のつながり」の回路と「自己と他者のつながり」の回路の形成に着目し、その原点となる子どもとまちの関係性のありようを見つめた。
今回、連載第19話では、NEXT21第3フェーズ居住実験の折り返し点で、U-CoRoプロジェクトの第1回目から第9回目までの展示やイベントを通して、地域の方々と共有してきた貴重な情報や経験をもとに作成した、『上町台地 つながりのスタイルブック』を紹介する。人と人、人とまちの関わりの回路を豊かにしていく、上町台地ならではの“つながりのスタイル”を伝えるツールである。
当連載で何度か取り上げてきたように、U-CoRoプロジェクトでは、柱となる大テーマ「地域文化の再発見」「多世代・多文化の共生」「減災文化の創造」「自然・環境の再生」のもとに、具体的なテーマを設定し展示やイベント等のプログラムを展開してきた(※2)。『上町台地 つながりのスタイルブック』は、第1回から第9回のプログラムを1冊(60ページ)にまとめ再編集することによって、個別のプログラムに関わった方々が、時間軸、空間軸、関心軸を往き来する視点を得、新たなつながりを実感し、視野や可能性の広がりを自ら物語ることのできるツールとなればとの願いを込めてつくったものである。
(※1)NEXT21第3フェーズ居住実験の一環としての地域コミュニケーションデザイン実験U-CoRoプロジェクトの概要等は、季刊誌「CEL」83号・84号・86号・88号・89号・91号・92号「大阪・上町台地発 都心居住文化の創造へ」(第12話〜18話)及びU-CoRoホームページで紹介している。http://www.osakagas.co.jp/company/efforts/cel/issue/cel/
ウィンドウ・エキジビションや関連イベントは、U-CoRoプロジェクト・ワーキングが企画・運営している。2010年3月現在の同ワーキング・コアメンバーは、弘本由香里(大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所/上町台地からまちを考える会)、橋本 護(B-train)、早川厚志(まちづくり工房/からほり倶楽部/上町台地からまちを考える会)。
(※2)U-CoRo プロジェクトの第1回目から第9回目までの展示やイベント等の概要は、U-Co Ro ホームページで紹介している。