大塩 まゆみ
2010年07月01日作成年月日 |
執筆者名 |
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2010年07月01日 |
大塩 まゆみ |
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.93) |
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2010年3月26日に「平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律」(以後、「子ども手当法」と略す)が成立した。「次代の社会を担う子どもの健やかな育ちを支援する」ことを趣旨としたこの法律は、中学校修了前までの子どもを監護し、かつ生計を同じくする国内に在住する父母等(※1)に月額1万3千円を支給するものである。これまでの児童手当にはあった所得制限がなくなり、子ども手当の全部または一部を市区町村に寄付できる仕組みが設けられた。つまり、この手当を受給しなくてもよいという世帯に、寄付という選択肢が設けられた。費用については、これまでの児童手当分については国・地方・事業主が負担し、それ以外については全額国庫負担(公務員については所属庁)となる。さらに、平成23年度以降の制度のあり方について検討し、その結果にもとづいて必要な措置を講ずることになっている。
これまでの児童手当で小学校修了前までとなっていた支給対象年齢が、中学校修了前までにのび、所得制限がなくなったので、受給対象児童数は2010年度は1,588万人(公務員分を除く)となり、給付費総額は2兆2,554円となる。うち国庫負担は、給付費が1兆4,556億円、事務費166億円と計上されている(※2)。
「子ども手当」は、民主党政権の看板政策として話題を呼び、現金給付よりも保育所等のサービス拡大を望む声も出ている。子ども手当は、親が保育料や給食費として使うことも、貯めて将来の学費にすることもできる。子の健全育成のために使うことが受給者の責務だと法律上は定められており、不正受給に関する規定(支給の制限・不正利得徴収・調査・罰則)もある。また、児童手当の財源から子育て支援サービスに支出していた児童育成事業が継続される。しかし、問題もあるので、受給者を実際の養育者にしたほうがよい等の他の課題もあわせて十分に検討する必要がある。
(※1)父母と父母以外では支給要件が異なり、父母以外の場合は監護かつ生計を維持している人。
(※2)全国児童福祉主管課長会議資料(平成22年2月25日開催、2010年3月5日)(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb16GS70.nsf/vAdmPBigcategory/FEFB6F19CA78CE38492576B
000058C07?OpenDocument/2010/4/25)、および厚生労働省ホームページ参照。