栗本 智代
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2010年10月01日 |
栗本 智代
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住まい・生活 |
住生活 |
情報誌CEL (Vol.94) |
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−はじめに−
このところ、人々の娯楽への関心が、海外などの名所や文化から、日本や地元、つまり身近な歴史や文化に帰ってきたと思わせるブームが続いている。たとえば、奈良県興福寺の“阿修羅”像が、巡回展で全国的に有名になって奈良にもどってきた。桃山時代を代表する絵師「長谷川等伯」の展覧会も同様の現象が起きた。住んでいる地域やとなりまちを、地元の案内人と一緒に歩くツアーも静かな人気を集めている。
身近な地域への関心や、活動への参加、コミュニティ内での交流は、日々の時間をより豊かに充実させてくれる。そのことに気づき始めた人は少なくないだろう。今後さらに、関心を持つためのきっかけや出会いが必要であり、多様な情報や参加プログラムも望まれる。
本稿では、当研究所(大阪ガス(株) エネルギー・文化研究所)が2010年に行った生活意識調査の中で、「生活しているまち」(※)に対する意識と関わりについて、質問を行った。世代ごとの傾向を含めて以下に報告する。
(※)「生活しているまち」とは、住まいのある市町村だけではなく、仕事をしたり日常の買い物をしたり、病院に行ったりする市町村のこととして、回答者に答えてもらった。
−生活しているまちに関する知見〈現状〉−
まず、生活しているまちに関して、どの程度知っているか、4つの項目について質問した(図1)。
1つ目は、歴史(まちの歩み、歴史的有名人の有無、開発の変遷なども含む)について。まちの歴史は、自ら興味を持たないと学ぶきっかけや知る機会が少ないが、年齢が高いほど、より興味を持つ傾向にあった。
全体で、「詳しく知っている」5.2%、「多少は知っている」68.4%、「知らない」26.1%と、約4分の3は何らかの知見がある。年代別に見ると、“詳しく”あるいは“多少は”知っている割合は、年代が上がるほど多くなっており、男女別でも傾向は同じだが、50代を除くと男性の方がよりポイントが高い結果であった。
2つ目は、「名所」(観光名所や旧跡、神社仏閣だけでなく、話題の人気スポットや施設、店なども含む)について。名所は、テレビや雑誌、新聞、広告など、情報が入手しやすく、また娯楽的要素が大きいため、興味を持つ人も多いのだろう。
全体で、「詳しく知っている」7.6%、「多少は知っている」81.5%、「知らない」10.6%という結果であり、概してよく知られている。世代別には、少ない順に20代、30代と続き、40代以上は大きな差はなく、よく知っている傾向にあった。男女別では、大きな差はなかった。