豊田 尚吾
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2010年09月01日 |
豊田 尚吾
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住まい・生活 |
ライフスタイル |
その他 |
日本FP協会 第1回小論文コンクール 佳作受賞 |
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生活者を取り巻く環境が大きく変化する中、暮らしの満足度を向上させるためにFPの役割はますます重要になっていく。一方でFPは期待されるミッションを理解し、時代の変化に柔軟に対応していく必要がある。それを一言でいえば、これからのFPは成熟社会において、生活者のSR(社会的責任)を基盤とした、次代の生活者像実現を支援する核的存在になる。これが拙稿での主張である。
以下、生活環境の変化、その中で生活者の暮らしの満足度を向上させるために必要な3つの見直し、新しい生活者実現のために期待されるFPの役割、その具体例について論じる。
生活者を取り巻く環境変化
これからのFPの役割を考える前提として、生活者を取り巻く環境変化を整理しておく必要がある。大きな潮流としては、以下の四つを挙げておきたい。
? グローバル経済化の流れ
これは世界的な所得獲得競争の激化を意味する。特に新興国の労働力との比較から、日本国内の未熟練労働力の賃金の抑制圧力が継続するという問題がある。加えて中長期的な流れとしては経済の金融化が進み、資本と労働との成果配分が前者にシフトするという傾向が続きそうだ。これらは賃金の抑制圧力となり、不安定化にもつながる。
? 環境・エネルギー制約(地球温暖化問題、生態系の維持など)
今まで無償で享受してきた地球からのサービスが、人類の諸活動の規模拡大の影響で毀損しつつある。その弊害を少なくするための各種コストが多くの経済活動に課され、生活者の消費活動にも様々な制約を与えつつある。
? 少子高齢社会の到来
先進国はもちろん、近い将来、中国などの新興国においても高齢化は問題となる。それは社会保障基盤の疲弊という形で生活者に大きな負荷を与える。
? ICT(情報コミュニケーション技術)の進展
情報流通コストの劇的低減とともに、コミュニケーションのあり方自体に大きな影響をもたらす。
この四つのトレンドが、今後の日本社会、ひいては生活者の厚生に大きく関連する主要要因だと認識している。このような変化に社会や生活をどう対応させるかを考えた場合、次の3つの見直しが必要であると考える。