豊田 尚吾
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2010年12月28日 |
豊田 尚吾
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住まい・生活 |
ライフスタイル |
ディスカッションペーパー |
10-09 |
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はじめに−問題意識
持続可能な社会、生活の構築に資する活動が大阪ガスエネルギー・文化研究所(CEL)のミッションである。その中で、生活経済の視点から社会を見た場合、制度上の問題点が持続可能性の足かせになっているという問題意識を持つ。
当然のことながら、そのような課題を解決する処方箋が簡単に見つかるわけもなく、地道な取り組みを積み重ねていくしかない。そのためにも、共有化することのできる理念、基本的な考えが必要になる。そこで重要なことが、「価値」である。
持続可能性を考えるということは「未来」を視野に入れるということである。当然、私たちの行動が未来に影響を与える。未来を創り出すと言ってもいいかもしれない。私たちが行動する場合、一般に選択肢は一つだけでなく、複数存在している。その中で何を選ぶかによって行動が変わり、結果も変わってくるとすると、後悔のない判断をするため、選択の基準が必要になる。選択の基準とは評価に関わることを意味し、「〜だ」という事実認識に加えて、「〜べきだ」という規範意識、価値論が不可欠になってくる。
本稿では、理念、哲学の中で、善悪、正邪という価値を扱うための論理の体系(の一つ)を「倫理」だととらえる。そして“生活経営における倫理の重要性”に注目する。ディスカッションペーパー9−01、10−02、10−03などで言及した「責任ある消費」、あるいは10−08での「社会的責任」といったテーマの中で、従来から生活者の倫理を論じてきた。ここでは、生活者の倫理に関して、より基本的な「意識」について、今一度検討することを試みる。
具体的には、次節において、持続可能性と社会の制度(これも規範の一種である)が抱えている問題を論じることで、本稿での問題意識を提示ししつつ、倫理がそこでどのような役割を持っているのかについて考えを述べる。
次に、生活の中での倫理性について、どのような意識と変化があるのかについて、データを用いて確認を行う。そして、生活者が持っている倫理という概念へのイメージが、社会として概観した場合、どのような構造を形作っているのかについて、テキストマイニングの手法を用いて検討を行う。