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情報誌CEL

豊田 尚吾

2009年03月19日

「不確実時代の生き方セオリー(20)」日本独自のホスピタリティを考えよう

作成年月日

執筆者名

研究領域

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媒体(Vol.)

備考

2009年03月19日

豊田 尚吾

住まい・生活
都市・コミュニティ

消費生活
地域活性化
まちづくり

情報誌CEL

2010年11 月25日新規登録

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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(産経新聞 夕刊(大阪)2009年3月19日掲載)

 

 スイスのシンクタンクである世界経済フォーラムが観光競争力のランキング(2009年)を発表しました。1位からスイス、オーストリア、ドイツ、フランス。日本は2ランク後退して25位でした。

 順位よりも興味深かったのは、その内容です。ランキング計算のもととなる14の評価基準の中で、交通インフラや観光資源では日本は上位にランクされていましたが、「親しみやすさ」が133国中、131位だったのです。

 親しみやすさは3つの要素で計算されています。オープンであるか(130位)、外国人への態度(106位)、ビジネス旅行時の観光(130位)。日本はこれらの評価が極端に低かったのです。

 一方、米国の旅行会社は欧米のホテルを調査し、日本人観光客のマナーが2年連続で世界一だとの結果を公表しています。個人と(観光)産業の違いはありますが、よいゲスト(お客さん)ではあっても、よいホスト(招き迎える側)ではないとみられるのは寂しい気がします。

 日本には伝統的に“おもてなし”という文化があります。それはホスピタリティと訳されることが多いのですが、実際には両者の意味は同じではないとのことです。ホスピタリティには異人歓待という要素が強くあり、それは自らの共同体が外部と共存共栄を図るために行った風習からきているようです。

 そういう意味では同じ日本人をもてなすというだけでなく、文化の異なる他者とうまく交流する能力は、真の異人に接する機会が比較的少ない私たちの弱点なのかもしれません。

 ホスピタリティはホスト、ホテル、ホスピタル、ホスピスなどと語源を共有するとともに、ホスティリティ(敵意)、ホステージ(人質)とも同根だとのことです。他者とうまく向き合えばよい関係を築けますが、一歩間違うと対立してしまうことになりかねません。

 観光は将来性のある産業として期待されています。しかし、そのためには私たちが日本らしいホスピタリティとは何かを考え、実践していくことが必要です。

 

(大阪ガス エネルギー・文化研究所主席研究員 豊田尚吾)

 

 

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