柳生 博、当麻 潔
2011年01月11日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2011年01月11日 |
柳生 博、当麻 潔 |
エネルギー・環境 |
地域環境 |
情報誌CEL (Vol.95) |
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俳優として知られる柳生博さんは、現在、日本野鳥の会の会長やコウノトリファンクラブの会長を務めるなど、これまで自然保護の方面にも力をそそいでこられた方。個人的にも30年以上前から、山梨県の八ヶ岳南麓で雑木林の再生を実践されてきている。今回は、柳生さんのアトリエ「八ヶ岳倶楽部」にお訪ねし、その試みを紹介していただきながら、木々に囲まれた日々の暮らしと里山を中心とした生物多様性保全の問題などについてお話をうかがった。
−森は人と人とのつながりをつくりだす−
当麻
今回の特集に際し、日本の森や自然の現状を捉えなおし、木とともにある暮らしの可能性を考えようとしていた時に、柳生さんのここ八ヶ岳倶楽部での実践を知りました。それ以来、ぜひこちらにお訪ねしたいと思っていました。今日は、この土地で柳生さん自身が雑木林を再生されてきた、その経緯や人と自然と生きものたちが共に生きるすばらしさなどを中心にお話をお聞かせいただけたらと思います。
柳生
遠方まで、よくおいでくださいました。僕は、当初人工林だったところを、本来の雑木林に戻していく作業を、どちらかと言えば自分自身の楽しみとして、これまで33年ほどこつこつ続けてきました。それがここ数年、世の中から思いもかけず評価をいただいているようで、うれしいとともに少し驚いてもいるんです。当麻さんはどう思われますか。
当麻
ここの雑木林は、森林管理のモデルとしても象徴的な存在だと思えます。日本は国土の約67%が森林で、自然環境保全、低炭素社会の実現、生物多様性の問題からも森を守ることの重要性が盛んに言われていますが、それを今後、持続可能な形でどう実現していくのかについては、なかなか上手くいかない。各地で試行錯誤をしているのが現状かと思うのですが、ここに来ると、その実例がちゃんとある。
柳生
そう言っていただくとありがたいですね。その意味でわかりやすい例なのでしょうね。もうひとつ付け加えると、森と人間の関係性のモデルでもあるかと思います。ここは一般の方に開放していますが、実際ここに来るとみんな気持ちが良いとおっしゃる。今、来訪されている方々も楽しそうでしょう。ご夫婦でも、より仲良くなる。働いているスタッフたちもそう。ここで恋をして、場合によっては地元の人と結婚する人もいる。何年かすると、そういう人たちが親になって、今度は子どもを連れてくる。そうやって、ここを中心にして大きな「家族」のようなものができているんです。