薪く炭くKYOTO
2011年01月11日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2011年01月11日 |
薪く炭くKYOTO |
エネルギー・環境 |
地域環境 |
情報誌CEL (Vol.95) |
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−森林バイオマスの利用促進−
−森を守り、循環型社会を提案−
京都市の中心部から北へ約15Km。鴨川の源流を有する雲ヶ畑の山林で、『薪く炭くKYOTO』のメンバーたちは毎月、山仕事に汗を流す。会社員や京都府の職員、大学生らが中心となり、2002年6月に立ち上げたボランティア団体である。そのユニークなネーミングには、「山に囲まれた京都を舞台に、薪や炭といった再生可能なエネルギー資源である“森林バイオマス”を広め、循環型社会を提案するシンクタンクになろう」という思いが込められている。
主な活動は、京都市内における薪や炭の普及のための調査や講師を招いての勉強会、森林バイオマス先進地の視察、市民参加型のイベント開催などに加え、木材の供給源となる森の育成にも力を注ぐ。
森林作業の拠点となる雲ヶ畑の山林は、地元の山主から借りている広葉樹の森で、ここでは春の植林から夏の下草刈り、秋のドングリ拾いと苗木づくり、冬には次の植林に向けた地ごしらえを行う。また、山主の指導を受けながら、同地に広く分布する人工林の間伐作業も手伝っている。自分たちで伐り出した間伐材で薪割りや炭焼きを体験し、それを燃料にして野外料理を楽しむなどといった活動を通して、メンバー自らが森林バイオマスの利用を実践。これらの森づくりの活動を「理想の森プロジェクト」と名付け、『薪く炭くKYOTO』以外にも雲ヶ畑で山仕事を行う団体と、京都市北区にある木の家具工房が協賛し、3団体での連携によりネットワークを広げている。
そして発足から4年後、活動実績も積まれていく中で、新しい展開を目指していた前代表の松田直子さんは、「森林バイオマスの利用促進」を目的とした会社『Hibana』を設立した。「木質燃料の供給と利用法をもっと具体的に考え、責任を持って情報やサービスを社会へ提供するために起業しました」。
『Hibana』では、行政や民間企業と連携した森林バイオマスの普及活動の企画・運営を事業の軸としながら、薪炭や木質ペレット、それを使うためのストーブや火鉢、七輪などの販売も行い、森林バイオマスの利用を目に見える形で提案している。さらに、製材所から出る廃材や街路樹の剪定枝を薪へと転用し、薪ストーブのユーザーへ供給する仕組みもつくり出した。ちなみに松田さんは、店舗と自宅でペレットストーブを愛用。「木質ペレットは軽量でストックしやすく燃焼時に煙も出にくいので、現代の暮らしに取り入れやすい」と話す。