古材文化の会
2011年01月11日作成年月日 |
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2011年01月11日 |
古材文化の会 |
エネルギー・環境 |
地域環境 |
情報誌CEL (Vol.95) |
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−伝統的木造建築の保存・継承−
−木造建築の文化を未来に引き継ぐ−
しっかりと建てられた木造建築は、手を加えていけば100年以上の寿命を保つ。その一方、築後30〜40年での建て替えが多いのが日本の住宅サイクルの現況だ。これを見直す中で、古民家の再生活用や木造の家づくりなどに関心を持つ人が今、増えてきているという。
こうした背景のもと、古民家についての調査や相談、活用提案をはじめ、木造建築の保存と継承を推進し、これに関わる人材の育成に努めるのが「古材文化の会」(旧「古材バンクの会」)だ。同会には、研究者や建築士、職人、学生など幅広い層の人材が集う。
最近では、古民家や街並みを残すには、地域の支援制度も重要という考えから、奈良では行政と協力して町家民家改修のサポートセンターを発足させた。ここでは使われなくなった建物の再生活用の提案や、やむなく解体された民家から提供された木材や建具、畳など貴重な古材の情報を、新たに求める人に橋渡しするなど、文化的価値の高い建物や古材を再生活用する拠点として動き始めている。
近年特に力を入れているのが、木造建築に関わる幅広い人材を育てること。同会が行政と共に開催する「京都市文化財マネージャー講座」や「伝統建築保存・活用マネージャー上級講座」では、伝統的な木造建築を地域の活性化に生かすまちづくりの手法を学ぶ。座学だけでなく実習を重ね、自分が見つけた文化財や古民家の活用プランを立てるなど、実践的なカリキュラムが特徴だ。
昨秋、そうした実践の場となったのが、京都府南丹市美山町に広がる「かやぶきの里・北村」。美しい茅葺き屋根が残る村は、93年に重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、「古材文化の会」はその当時から北村の景観保全をサポートしている。
また、受講生は、景観を守る地元での取り組みや、現在の村が抱える問題を住民と共に考え、景観保全と観光産業を両立する方策を提案していく。
「住む人も地域も古建築の価値に気づいていないことが多く、それを残したいと誰かが願わなければ、いつしか人も家もなくなってしまう。その?誰か?を一人でも多く育てたい」と副会長の栗山裕子さん。
講座の卒業生は関西だけで100人を超え、建築や土木、都市計画の専門家として各地のまちづくりに関わる。木造建築を維持するには多くの人の手がかかるため、常に材料や技術の情報を交換しあい、連携して動けるネットワークを、日本中に広げることを目標としている。