Dr.Ingrid Haslinger、山下 満智子、宇野 佳子
2011年01月11日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2011年01月11日 |
Dr.Ingrid Haslinger、山下 満智子、宇野 佳子 |
住まい・生活 |
その他 |
情報誌CEL (Vol.95) |
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−チョコレートのテーブル−
−チョコレートとは−
チョコレートについて、1740年のある文献は、「チョコレートは(中略)固く、乾いていて、かなり重量感があり、小さい四角の塊や握りこぶし大の丸い塊、あるいは小さい円盤状や板状で、色は赤茶色、そして疲れを取るような好ましい香りと味がする。主成分はカカオで、それにさまざまなものを加えて作られる(中略)。板状のチョコレートは、そのまま食べることもできるほか、次のようなやり方で飲むこともできる。まずチョコレート用の鍋に汲みたての澄んだ井戸水を注いで火にかける。沸騰したらすぐに刻んだチョコレートと、同量の砂糖をその中に入れ、蓋をして15分間とろ火で沸かし、最後に攪拌棒でよくかき混ぜる。その後、さらに15分間弱火でやさしく沸き立たせ、それから攪拌棒でもう一度、泡立つまでかき混ぜて、カップに一度に移す。やけどするほど熱くして飲まなければならない。」と述べている。
もっとも、今日のホットチョコレートは、水ではなくミルクで作られる。またチョコレートも、18世紀と今日とではまったく異なっている。ようやく19世紀半ばにテンパリングの技術が発明され、口溶けのよいチョコレートが作られるようになったのである。
−チョコレートを飲む習慣−
17世紀に、チョコレートや紅茶、コーヒーという贅沢な新しい飲み物がヨーロッパで徐々に広がり始めた。そしてこれらの飲み物を味わうための道具が生まれた。
南アメリカでチョコレートを知ったスペイン人がそれをスペインの宮廷に持ち込んだのが、ヨーロッパでのチョコレートの始まりである。フランス国王ルイ十三世及びルイ十四世の王妃は、いずれもスペイン・ハプスブルク家の出身であり、チョコレートを飲む習慣は、この王妃たちによってパリに持ち込まれ、多くの貴族たちに熱狂的に受け入れられた。ただ、王弟であるオルレアン公の妃リーゼロッテ・フォン・プファルツだけは、その新しい流行になじむことができなかった。王弟妃リーゼロッテは、ソーセージやクラウトなどのキャベツ類といった、自分の故郷のボリュームのある料理をより好んだ。「私は、紅茶も、コーヒーも、チョコレートも好きになれない。どうしてみんながあんなものを喜んで飲むのかわからない。チョコレートは私には甘すぎて好きになれない(中略)おいしいブラウンクラウトやザワークラウト、生ハム、ミニソーセージ(中略)ベーコン入りのおいしいクラウトのサラダ、これらが私のお気に入りの食べ物だ。」