豊田 尚吾
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
2011年03月29日 |
豊田 尚吾
|
住まい・生活 |
消費生活 |
ディスカッションペーパー |
10-11 |
ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。
1.はじめに
CELディスカッションペーパー[10-02](責任ある消費に関する意思決定モデルの検討)および[10-03](責任ある消費に関する意思決定モデルを用いた、フェアトレード商品購買行動の分析)において、他者に配慮した消費行動の存在とその可能性について注目し、考察を行った。
前者[10−02]は、既存の社会心理学モデル(3種類)を用いた、消費行動の意思決定モデル(詳細はCELディスカッションペーパー[09-01])を検討し、それらを統合した、新しいモデルを提示した上で、その妥当性を、ボランティア商品の購入に関するデータを用いて検証した。検証手段として、共分散構造分析を用いた。その結果、一定程度の適合性を確認することができた。
後者[10−03]は、フェアトレード商品の購入に着目し、回答者の経験や信条がどのような影響を与えるのかを確認した。結果として、他者に世話になった経験や、日常のコミュニティ内での交流などが、責任ある消費の促進に効果的であるという仮説の妥当性を確認した。
つまり、[10-03]では、元々の信条や経験によって培われた個人のパーソナリティーによって、意思決定モデルのパラメータが異なる可能性を検証したのである。そこで本稿では、特定の追加的情報提供が、意思決定の行動やモデルの構造に影響を与えるかどうかについて考察を行うこととした。
問題意識としては、情報提供による啓発(教育など)が、責任ある消費行動に対して、構造的な影響を持ちうるのかどうかということである。そこで本稿では、CELディスカッションペーパー[10-03]と同じモデルやデータを用いて実証分析を行った。
これにより、フェアトレードに対するポジティブな情報や論理的な説得は、態度から行動意図へという、主たる行動規定要因に影響を与える。ネガティブな情報提供は、単に行動を抑制するだけではなく、課題に対する理解を深める効果があるという結果を得た。