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情報誌CEL

藤田 智

2011年09月30日

住まいの中の小さな菜園

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2011年09月30日

藤田 智

住まい・生活

住環境
ライフスタイル

情報誌CEL (Vol.97)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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 日々の仕事から解き放たれた週末の朝、誰もいないベランダの真ん中で新鮮な空気を思いっきり吸ってみると、何ともいえないフレッシュな香りと新鮮な味に心身ともに健康を実感します。とれたての野菜を食卓に供し、家族の笑顔を見ると、野菜を育てることで実は自分自身も一緒に成長している、そんな気になります。土の詩人・宮沢賢治は、花巻(岩手県)の小高い丘にある自宅(羅須地人協会※)から少し離れた、北上川の見える畑に向かう時「下ノ畑ニ居リマス」と書き残していたそうです。彼は何を求めて畑に向かったのでしょうか。彼は畑に何を見たのでしょうか。ひとつだけ言えるのは、畑こそ賢治の安らぎの場であったこと。そこに植えつけた野菜たちは必ず賢治の呼びかけに応えてくれる存在だったのではないでしょうか。

-若い世代に広がるベランダ菜園-

 今年のグリーンカーテンの流行は、「3・11」の地震の影響が大きいと思いますが、すごいものでした。ただでさえ、野菜づくりが流行っている時ですから、なおさらです。親子で、夫婦で、ひとりで、苗を買いにきている者、中には家族で苗を見ている者など、それぞれです。今、野菜づくり(家庭菜園)は、熟年の世代から若い世代にまで確実に広がっています。しかし、若い世代の方々が目立たないのは、どういうわけでしょう。その答えは、ベランダ菜園なのです。マンションなどの集合住宅に住んでいる若い世代は、畑を持っているわけではなく、ベランダを利用し、畑(コンテナ菜園)を作っているのです。
 奥さんと子供とベランダ菜園を楽しんでいるAさんは、昨年から1.2m×4mほどのベランダに小さな菜園を作り、ミニトマトやキュウリ、ナス、ピーマン、ホウレンソウ、ラディッシュといった野菜を栽培し始めました。最初は、部屋に土や軽石、コンテナなどを運ぶのに苦労したそうですが、種まきや苗の植えつけを妻や息子と一緒にやり、食べきれないほどのミニトマトやキュウリなどが収穫できました。普段仕事であまり触れ合う機会のない息子と収穫した野菜を食卓に並べ味わう時、家族がいつも一緒にいられる菜園の良さを実感したそうです。

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