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情報誌CEL

木全 吉彦

2011年09月30日

CELからのメッセージ 「土」とかかわりから自然と人間を考える

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備考

2011年09月30日

木全 吉彦

エネルギー・環境
住まい・生活

地域環境
ライフスタイル

情報誌CEL (Vol.97)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。

-はじめに-

 2011年3月11日14時45分、東北地方を襲った東日本大震災で被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
 私事ながら、筆者が前任の多木秀雄の後任として、大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所(以下、CEL)所長の発令を受けたのはまさにこの日の朝のことでした。また、本年は当研究所が設立されてから満25年に当たり、5月には記念シンポジウムを開催する予定で準備を進めていたところでもありました。地震発生直後で復旧の道筋も見えない状況を勘案して、シンポジウムは延期することとし、そこでの発表内容をまとめて7月に発行する予定だった季刊誌「CEL」97号も、企画を練り直さざるを得なくなりました。本号のお届けが今になったのは、このような経緯があったからです。この間、ご連絡も差し上げず、ご心配をおかけしたことをお詫び申し上げます。
 さて、未曾有の規模の地震と津波は、ただでさえ過疎・高齢化という構造的課題を抱えて懸命な努力を続けてきた東北地方太平洋岸に襲いかかり、一瞬にして業住一体のコミュニティを壊滅させました。そして同時に発生した福島第一原子力発電所の事故は、放射性物質の拡散による健康被害の懸念とエネルギー供給不安をわれわれに突きつけ、今や「安全・安心な社会」「安定的なエネルギー供給構造」への信頼は大きく揺らいでいます。
 「第二の敗戦」とまでいわれる今回の震災が、人々の意識、暮らし方をどのように変えるのか、個人と社会、地域コミュニティとの関係に変化は起きるのか、その中で産・官・学の果たすべき役割は何かについて調査・研究することは、今後、私どもCELが取り組むべき重要な課題と考えています。

-"3・11以後"とCEL-

 CELのミッションは、高齢化・グローバル化の進む社会において、人々が「豊かな暮らし」「幸せな人生」を持続的に送るために、何が必要で、何をしなければならないかを考え、社会インフラ、家庭、住まい、食、文化活動、娯楽、自然との関わり等について、生活者の視点から研究し、住みよい社会づくりに向けて、提言することにあります。
 その意味で、今回の大震災が生活者一人ひとりの意識・価値観に与えた影響を正しく把握し、中長期的に起こるであろう生活行動や社会の変化を見通すことができるかどうかは、われわれCELにとって大きなチャレンジになると考えています。
 3・11が日本社会の大きな転換点となることは間違いないと思いますが、これまでの価値観や社会システムが全否定されるわけではありません。エネルギーをふんだんに使うことや、むやみな贅沢を是とするのではありませんが、行き過ぎたところを見直せば、「豊かさ」や「快適」の追求をあきらめる必要はないでしょうし、自然災害が多いからといって日本をあきらめるわけにもいきません。自然の恵みをフルに生かしつつ、自然のもたらす災禍を最小限に食い止める、スリムでスマートな(賢い)暮らし方こそが、本来、自然とともにある人間にとって究極の幸せではないでしょうか。

 

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