フェアトレード・ラベル・ジャパン
2012年01月05日作成年月日 |
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2012年01月05日 |
フェアトレード・ラベル・ジャパン |
住まい・生活 |
消費生活 |
情報誌CEL (Vol.98) |
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-若い世代を中心に認知と理解が広がる中 持続可能な社会運動としての展開を図る-
フェアトレードとは、発展途上国でつくられた作物や製品を適正な条件で継続的に取引することで、生産者の生活向上を支援する仕組みだ。もともと南北の経済格差を解消するため「もうひとつの貿易の形」として欧米で始まって以来、60年以上の歴史がある運動だが、日本で広がってきたのはここ10年ほど。
「日本企業がCSRに本腰を入れ始め、スターバックスコーヒーが国内でフェアトレード認証製品の扱いを開始した2002年頃から徐々に注目され、ようやく市場が形成されてきました」とフェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ)の事務局長、中島佳織さんは振り返る。
フェアトレード・ラベルとは、特定の基準(※1)を満たしたフェアトレード商品を証明する認証ラベルのこと。国際フェアトレードラベル機構(FLO)(※2)が国際的な基準を定め、その傘下でFLJは、日本に流通するフェアトレード商品が基準を遵守しているかを監査し、認証ラベルを許可しライセンスを発行している。
「イオン、無印良品、西友などの流通企業や外食業、ホテル、鉄道の飲食部門、大学や企業の食堂などで、フェアトレード製品を扱うところが増えてきましたし、学校の教科書や入学試験にも採り上げられることで、若い世代を中心に認知が高まってきました」
世界を見渡せば、約70カ国で流通するフェアトレード認証製品の数は約2万7千。市場規模は不況にも関わらずここ数年で10〜30%の割合で拡大を続け、5千億円を超えている。対して日本の市場規模は約16.7億円(2010年)と英国や米国とは比較にならないぐらい小さい。中島さんは根底にある問題として、国内では「消費者の責任」として捉える考え方が浸透していない点を指摘する。
「寄付つき商品と混同されることがまだ多いですし、企業側も利潤と継続性を考慮しますので、消費者側の意識が高まり、市場性が見えてこないと、商品化まで踏み込めないのが実情です」
そもそもフェアトレードの目的は、貧困の削減を持続可能な社会運動として展開することにある。そこでFLJは、行政や企業に対してフェアトレード調達や同商品の採用、生産者への支援などを働きかけるとともに、学校教育や消費者への普及啓発にも力を入れ、フェアトレードのさらなる拡大と深化をめざしている。
(※1)特定の基準
「生産者は組合を作り、透明性のある民主的な活動を行う」「生産者が安定した生活を営み、品質向上や環境に配慮した生産に取り組めるようにする」等、品目ごとに「生産者」と「取引」に関する多岐にわたる基準を設定している。
(※2)Fairtrade Labelling Organizations International1997年設立。日本を含む26カ国22のラベル認証機関に加え、中南米、アフリカ、アジアの生産者ネットワーク組織3団体を束ねる国際組織。