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情報誌CEL

京 雅也

2012年02月14日

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2012年02月14日

京 雅也

住まい・生活

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情報誌CEL (Vol.99)

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 個人的な話だが、昨年はなつかしい人の顔を見る機会が多くあった。卒業以来の中学校をはじめ、高校、大学と計3回の同窓会に出席したからだ。それぞれに、過ぎ去った年月をかみしめながら、旧友たちと思い出話に花が咲いた。共に50歳を過ぎ、人生をふり返ってみたい年齢になってきたことも確かにある。幹事の人たちの尽力に感謝しながらも、それでもこの時期になぜこうも重なったのだろうかとふと思う。しかも出席率も結構高いようだった。
 昨年起こった東日本大震災が私たちの心に与えた影響があるのかもしれない。実際、昨年は結婚する人が増え、出生率でもここ数年の微増傾向が継続しているという。日本人の各世代において、震災を契機に自分の人生をしっかり捉え直したいという気持ちが強くなってきたようだ。
 マスコミを筆頭として、昨年は「絆」という言葉が、人々の口の端にさかんに上った。もちろん、人と人の「絆」は無理矢理に深める類のものではなく、あくまでも自然に生まれるもの。だから、「絆」をことさらに求めることは、伝統的なコミュニティがすでに希薄化していることの裏返しでもある。それでも、やはり人はひとりでは生きられない、その当たり前のところに改めて目を向けようとする人が多くなってきたのは確かなことだろう。
 今回の震災では、エネルギーや放射能を含め、本当にさまざまな問題が、被災地以外の人に対しても、自分自身のこととして突きつけられることになった。それぞれの個人が、家族が、必ず誰かの助けを受けないと普通に生活をしていくことができないということ、そして自らも手をさしのべ、助け合わねばならないのだということ、あるいはそこには喜びもあるということを改めて知った。
 25周年を迎えた本誌は、最近でも、「減災」「生物多様性」「家族」「木の力」「CSR」「土」「倫理的消費」など、さまざまな特集テーマを設定してきたが、常に背景には「生活者」からの視点があり、人々の「つながり」を通して実現される「持続可能な社会」への展望を探るものだったと自負している。生活者として、そして企業人として、社会に参加していくこと、地域に関わっていくことの意味が、今、改めて問いかけられているのだと感じる。
 私たちは、計り知れないほどの大きな代償を払って、失われてしまったものの価値に気がついた。それを取り戻そうとする方向へと、すでに大きく舵を切ったのだと信じたい。

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