端 信行
2012年03月26日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2012年03月26日 |
端 信行 |
都市・コミュニティ |
コミュニティ・デザイン |
情報誌CEL (Vol.100) |
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-2つの手帳-
年の暮れになると、例年、さまざまな手帳が書店や文具店を中心に売りだされる。最近では人びとの多様なニーズを考えて、じつに種々多様な手帳が売りだされている。さまざまな情報が世にあふれかえり、それらをいかに選択しつつ自らの生活を設計するか、手帳はその手引きのひとつとなる。
今年はそのタイトルに魅せられて、2つの手帳を見つけた。『日本の伝統祭り手帳』と『家族で楽しむイベント手帳』(いずれも技術評論社)である。前者は言うまでもなく全国のお祭りカレンダーで、全国の神社寺院の祭礼がかなり細かく取り上げられている。これに対して後者の方は、○○大会とか××市など、なかには“近江神宮かるた祭”といった例もあるが、おおむね全国のおもな催しが取り上げられている。そしてこちらの方でも"何々まつり"という名称の催しが非常に多いのである。
このカレンダー式手帳は、ちょっとふつうの手帳とはちがい、お祭りやイベントがいつ、どこで、といった情報が重要なので、当然それらの情報が中心に編集されている。つまりふつうの手帳であれば、週単位の編集が前提でそこに祝日や暦の情報を付加するのであるが、このお祭り・イベント手帳は平日つまり月曜から金曜までと週末の土曜・日曜が別ページでセットになっている。もともと伝統祭りの日取りは旧暦で決まっていたのであろうが、現代ではどうしても週末の土曜・日曜に集中する傾向がある。この2つの手帳では、いずれも土曜・日曜の祭り・イベントが圧倒的に多くなっている。
-"祭り"と"まつり"-
2つの手帳をよくよく見てみると、まつりの名称が"祭り"ないし"祭"と漢字で表現している例と"まつり"と、かなで表現している例とがあることに気づくだろう。そして伝統祭り手帳の方が漢字の名称の祭礼がはるかに多いことに気づく。これに対してイベント手帳の方は△△"まつり"とかなの名称の催しが目立って多いのである。
現象としては、単に漢字で表したかそれともかなで表現したか、というちがいに過ぎないようであるが、なぜイベント手帳に掲載される催しが、かなの"まつり"とされている例が多いのか。伝統祭り手帳の祭礼でも"まつり"とかなで表現されている例もかなり見られる。これらには何か法則のようなものがあるのだろうか。