豊田 尚吾
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2012年03月26日 |
豊田 尚吾
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住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.100) |
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-はじめに-
2012年3月11日で東日本大震災の発生から1年となった。震災およびそれに派生する各種の事象が、生活者の意識や行動にどのような影響を与えたのかについて知ることは、今後の生活経営を考察する上で重要である。エネルギー・文化研究所では2011年6月に生活意識調査を行い、その結果概要を「CEL」97号で報告した。
一方、震災が非常に大きなショックであっただけに、その直後に調べた意識が一時的なものでないか、持続的であるのかどうかについて検証することが望ましい。そこで2012年1月、震災後約1年を経た生活者の意識を改めて調査した。本稿はそれを踏まえた上で、生活者の豊かさや価値観に関する質問に焦点を当てて分析を行うことを目的とする。
まず、この2回の調査データを用いて生活者の意識にどのような変化があったのかを概観する。それらを前提に、生活者の豊かさなどに関する考え方がどのような傾向を示しているのかについて、より詳細な考察を行う。
結論として、生活者の価値観に関する質問項目の回答は、前回(2011年6月調査)と比較すればやや揺り戻し傾向は見られたものの、総じて似た結果を得た。ただ、個人別に見れば意見を変えている回答者が多いことが分かった。その意味で、元には戻らない、何らかの変化が生活者の意識の中で起こってはいるが、それはまだ確定的なものではない、流動的な状態であると考えられる。
また、特に生活価値観の分野では、地域別、性別でかなり統計的に意味のある差異が確認された。具体的には関東および女性の意識の変化が際だって大きいという事実が明らかになった。これは今後の政策・施策にも参考になると考える。
-調査設計と前回の結果概要-
調査内容は「CEL」97号で説明したものと同じである。すなわち、昨年6月と今年1月に全く同じ質問を提示して、それが変化したのかしないのか、変化とするならどのように変化したのかを検証した。調査対象者は昨年6月調査での回答者(500人)である。その上で返答のない人数分を新規の回答者で補うという方法を採用した。結果、前回回答者376人、新規回答者124人(再回答率75.2%)となった。これにより、376名に関しては個別に回答がどのように変化したかを追跡することができる。
ここで前回、2011年6月調査での結果を簡単にまとめる(詳しくは「CEL」97号88頁〜90頁を参照)。