三島 順子
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2012年03月26日 |
三島 順子
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エネルギー・環境 |
地球環境 |
情報誌CEL (Vol.100) |
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-はじめに-
前回まで3回にわけて、環境教育について、海外の潮流、日本の潮流、現在、日本で行われている学校以外の場での環境教育についての取り組みについて紹介してきた。今回は前回紹介した兵庫県西宮市のEWC事業(※)の受託者であるNPO法人こども環境活動支援協会(LEAF)(※)の事務局長小川雅由氏との鼎談を通じて「環境教育から次世代を育む地域づくり」と題し、今後の環境教育に望まれることについて考察した。
本誌では以前1999年の50号で、特集テーマ「人間と環境20周年を迎えた今、環境教育のトップランナーとして活動してきた20年を振り返るとともに、今後の20年、さらに先を見すえ、今後の環境教育をどのように進めていこうとしているかを聞いた。
※ EWC=Earth Watching Club
※ LEAF=Learning Ecological Activities Foundation for Children
-環境教育を通じた持続可能な社会づくり-
三島
前号の第3回連載で、小川さんが事務局長のLEAFが運営するEWC事業について紹介致しました。昨年EWC事業は20周年を迎えましたが、今回は改めて、EWC事業のこれまでの経緯とともに、今後の目標などをお聞かせいただければと思います。
小川
これまでの20年間は、子どもの環境教育を社会の中にシステムとして取り込んでいくことに努めてきました。今後はさらに、環境教育から環境まちづくりの方向にもっていきたいと考えています。私自身、西宮市役所在職中も環境の専門でやってきたのではなく、人権問題や社会課題に触れながら取り組んできました。私が2003年に西宮市の環境都市推進グループの課長になった時に「環境学習都市宣言」を行いました。そして、同宣言をベースに市の環境条例、環境基本計画の見直しを04、05年に行い、市のまちづくりの基本が固まってきました。その後は、基本計画でつくった、行政、NPO、企業、市民からなる「パートナーシップ会議」と地域ごとの「エココミュニティ会議」を社会システムとして機能させ、これらの受け皿とEWC事業の「エコカードシステム」の融合が始まったのが08年頃からです。地域・学校・家庭と社会をつなぐこの仕組みをどうやって持続可能な社会の実現につなげていくのかが、これからの課題です。
木全
その実現に向けた活動としては、どんな方向性をお持ちなのでしょうか。
小川
ひとつは、ESD(Education for Sustainable Development=持続可能な開発のための教育)を通して、「社会的責任」というものを包括的に見る力の育成を目指しています。単に環境という個別課題でしばるのではなく、地域の中でいろんな社会的課題を抱えた人たちが同じ土俵でものを考えていけるような協働会議のようなものが必要になってくると思っています。