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情報誌CEL

京 雅也

2012年03月26日

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2012年03月26日

京 雅也

住まい・生活

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情報誌CEL (Vol.100)

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 私は小学校の3年生まで東京の下町で育った。秋には地元の神社でもまつりがあり、御輿と山車が出て、子どもたちも大人と一緒に山車の綱を引っ張って町内をめぐった。楽しかったけれど夢のような記憶。それでも、祭り囃子などを耳にすると、その時の感覚をふと思い出すことがある。
 その後、父の仕事の関係で青森市内に引っ越した。東北地方の短い夏に、大群衆が跳ね踊る、ねぶた祭の熱狂を小学生ながらに肌で感じた。企業などが出す大規模なねぶたが有名だが、私の町内でも小ぶりのねぶたをつくって繰り出した。まつりの当日、それをまちの人たちみんなで引き出す時の高揚した気分は忘れられない。
 大学を卒業し就職してから、私は長年大阪に住んでいる。関西にも京都の祇園祭や大阪の天神祭をはじめとして、各地にさまざまなまつりがある。それが今も受け継がれてきているのは、まさに地域の力があってのことだろう。規模の大小にかかわらず、まつりの中で、人と人とのつながりが深まり、子どもの成長が促されていく。 少し趣は異なるが、かつては、社内運動会や餅つき会など、会社にもいろいろなまつりがあった。昭和の高度成長期の頃、社員の家族も含めた人間関係の中心が、会社の中にあったからだろう。その後、企業としての効率性がより重要視され始めるとともに、そうした傾向にもブレーキがかかったが、最近では改めてその効用を見直す動きもあるようだ。
 運動会やまつりの時には、普段は目立たないのに大活躍する人や大切な役割を果たしている人がいる。そして、まつりが何より第一だという人も。そこには、日常の生活や経済社会の傾向とは少し異なる価値観が存在する。
 その地域が持っている歴史や独特の文化性に根ざした部分があってこそ、まつりは価値を持ち、地域の力を育んでいくだろう。同時に、地域にそうした力があれば、人と人との新しい関係性の上に、旧来とは異なったまつりもまた生み出されていく。
 準備の期間も含めて、まつりは終わっては始まり、それ自身のサイクルを繰り返していく。そして時代に合わせ、少しずつ生まれ変わる。
 本誌も今回で通算100号という大きな節目を迎えた。これはまさしく多くの読者や執筆者の方々からの長い年月にわたるお力添えの賜物であり、皆様への感謝の思いはつきない。再度我が身を引き締め、101号からの新たなスタートに向かいたい。             

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