中上 英俊、木全 吉彦、当麻 潔
2012年07月10日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
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2012年07月10日 |
中上 英俊、木全 吉彦、当麻 潔 |
エネルギー・環境 |
エネルギー・ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.101) |
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東日本大震災から1年以上が過ぎ、2度目の夏がやってきます。昨年に引き続く節電への取り組みはもちろん、私たちには、今、家庭や地域におけるエネルギー利用の現状を根本的に見直していくことが求められています。
今回は、これまで長年、生活者サイドに立ってエネルギー問題を調査・研究されてきた、住環境計画研究所所長の中上英俊氏を迎え、生活者が、エネルギーを「賢く使う」ことの意味を考え直しながら、省エネルギー型で豊かな暮らしができる持続可能社会をどう具体化していくべきかについて、お話をうかがいました。
―「節電」イコール「省エネ」ではない―
木全
今日は、これからの時代に我々はエネルギーとどう向き合うべきかについて、利用する側の生活者の立場から再考したいと考えて
います。特に去年の夏の経験を踏まえながら、本当の省エネというのはどういうことかを、まずちゃんと理解するところから始めたいと思います。
中上
一番のポイントは、「節電」イコール「省エネ」ではないということですね。エネルギーは私たちの暮らしには欠かせないものです。
だから、あるレベルまでは、人が普通に生存していくためにはどうしても必要なもの。そして、そこから先は、人が快適性や利便性を求めるにつれてエネルギーの使用量も増えていきます。しかし、あるところを過ぎると、今度はいくらエネルギーを使っても、快適性や利便性は上がらなくなる。
当麻
そこから先は、エネルギーの無駄使いということなんですね。
中上
その代表例が待機電力です。あるいは、人がいない部屋の電気のつけっぱなしや過剰な冷暖房などもそう。逆に、快適性や利便性を下げてでも、エネルギー消費量を落とそうというのが「節約・我慢」です。昨年は、一般家庭でもこれに近いことを皆がやった。
木全
暑いけれど、我慢してエアコンをつけなかったとかですね。
中上
でも本当の省エネは、生活の快適性や利便性は下げず、エネルギー消費量を減らすということです。
当麻
昨年の非常事態を受けて、節電と省エネの区別が判然とせず、ごっちゃになってしまったのですね。
木全
被災地にはもっと大変な目に遭っている人がいるという思いもあって、みんなで我慢した。でも、「節約・我慢」では、やはり続かないということですね。
中上
いわゆる省エネ法の正式名称は「エネルギーの使用の合理化に関する法律」です。本来の省エネは、エネルギーの消費量を削減するだけではなくて、エネルギーを合理的に使うということなんです。