小池 康郎
2012年07月10日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2012年07月10日 |
小池 康郎 |
エネルギー・環境 |
エネルギー・ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.101) |
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人のエネルギーの流れ
普段意識しないがエネルギーはどこにでもある。そしてエネルギーの流れと呼びたいようなものを作り出している。
身近な例で考えてみよう。人は1日約2000kcalの食事をとる。カロリーはエネルギーの単位であり、2000kcalが生命体としての人に必要なエネルギーの量である。人だけではない。すべての動物は食べてエネルギーを得る。肉食動物は動物を食べ、草食動物は草や木の葉を食べる。
植物のエネルギー源は太陽である。光合成によって植物は太陽エネルギーをとり入れ、自己のエネルギーとする。その植物を動物が食べる。植物に蓄えられた太陽のエネルギーを、食べた動物が奪う。こうして食物連鎖は太陽エネルギーの流れを作り出す。
食物からとり入れたエネルギーを人は様々な形に変える。生命体維持のためのエネルギー、運動のエネルギー、神経や脳の活動のエネルギー、etc…。太陽エネルギーは人の中で様々なエネルギーに変わる。
このようにエネルギーは形を変える。だがエネルギーは形を変えても量は変わらない。これは19世紀に確立された例外なく成り立つ物理法則である。そして様々なエネルギーは、最後にはすべて熱エネルギーに変わる。つまり人は1日2000kcalのエネルギーを食物からとり、そのエネルギーが許す様々な活動をし、2000kcalの熱エネルギーを毎日放出する。いわば太陽エネルギーが形を変えながら体内を流れ、それによって人は活動しているのだ。
火を使い始めて人は人になった。人特有の生命体外部でのエネルギー消費である。もったいない話だが、1日分の食材を乾燥させ、燃すことに使えば、2000kcalの熱エネルギーとなる。2000kcal分の石油と1日の食材は、エネルギー量として等価なのだ。
地球上のエネルギー ―自然エネルギーの流れ
地球でのエネルギーも人のエネルギーと同じ構造を持つ。太陽が地球上のエネルギーの流れの源である。人が毎日一定のエネルギーを食物から得るように、地球は一定のエネルギーを常に太陽からもらう。太陽のエネルギーは、地上で実に様々な形に変わる。万物の動きはエネルギーを持つが、地上ではほとんどが太陽起源であり、太陽からのエネルギーの流れ―自然エネルギーの流れ―の一部なのだ。そして最終的にエネルギーはすべて熱エネルギーとなって宇宙に返されていく。このようにエネルギーは、太陽から常に送られ、地球上で様々に形を変え、最後に熱エネルギーとして宇宙に流れ去るというのが、本来の姿である。前述のように、そのすべての過程で、エネルギーは形を変えるが量は変わらない。