当麻 潔
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
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2012年11月01日 |
当麻 潔
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エネルギー・環境 |
省エネルギー |
情報誌CEL (Vol.102) |
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―研究の背景・目的―
地球温暖化問題の解決に向け、各種対策が実施されているものの、環境省が発表した2010年度の我が国の温室効果ガスの排出量(確定値)は、1990年比マイナス0.3%と微減であり、民生部門は30%以上も増加している。特に家庭部門の増加は35%と非常に大きく、家庭部門での対策が強く求められている。
本研究は、集合住宅における大幅な省エネの可能性を追求するため、大阪ガス実験集合住宅NEXT21の第3フェーズ実験(2007〜11年)において、棟内の301住戸で行った5年間の省エネ居住実験である。目標水準は、一次エネルギー消費を基準値100に対して25(1/4)まで削減することとした。実験住戸の名称は「ファクター4の家」としたが、すまいの豊かさを2倍にし、環境負荷(エネルギー消費量)を1/2にし、環境効率(すまいの豊かさ/エネルギー消費量)を1/4にする「ファクター4」になぞらえて名付けたものである。
―シミュレーションによるエネルギー消費削減のイメージ―
目標の達成手段は、(1)建築物の改修、(2)省エネ機器・設備の導入、(3)再生可能エネルギーの活用、(4)省エネ型ライフスタイルの実践とした。
まず、基準となるエネルギー消費量については、NEXT21実験の第1および第2フェーズにおける301住戸の実績、大阪地区の住宅の実績、および熱環境シミュレーションソフトでのシミュレーション結果を基に、専用床面積(150m2)および居住人数(4名)に補正した数値を用いた。この数値は、第3フェーズの居住者がNEXT21に移る直前に住んでいた戸建住宅(床面積80m2)の一次エネルギー消費量のほぼ2倍に当たる。すなわち豊かさが2倍の住居を基準値としたことになる。
シミュレーションの結果、この基準レベルを100とし、(1)建築物対策で56に削減、(2)省エネ機器・設備の導入を加えて43に削減、(3)再生可能エネルギーの活用を加えて30に削減、(4)省エネ型ライフスタイルへの変革を加え22まで削減が可能であるということが分かった。目標を25とし、実際に対策を講じることにした。