山本 浩、朝原 宣治、弘本 由香里
2013年03月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2013年03月01日 |
山本 浩、朝原 宣治、弘本 由香里 |
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.103) |
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今回は、NHKアナウンサーとしてワールドカップサッカーやオリンピックなどの名実況で知られ、現在は法政大学で教鞭を執られている山本浩氏をお招きして、大阪ガス?に所属する北京五輪銅メダリストの朝原宣治とエネルギー・文化研究所の弘本由香里がスポーツの多様な価値について語り合う鼎談。身体を通して「感じる」ことの重要性と、そこから培われる自律心やコミュニケーション力、さらにはスポーツのエネルギーを地域に活かす可能性などにも話題が広がりました。
―身体を通して「気づき」「感じる」ことの重要性―
朝原
2010年の春から、大阪ガスの地域貢献活動の一環として、陸上競技クラブNOBY(ノビィ・NOBY T&F CLUB)を立ち上げています。現在、会員は約200名で、子どもたちが大部分ですが、下は小学校4年生から、上は69歳の方までが参加されています。陸上競技の指導というよりも、身体全体を使って、楽しく、自主的に運動をしてもらえる場を提供することが狙いです。特に子どもに対しては、そこでいろいろなことを感じてもらい、生きるための力を培ってもらいたいと考えています。また、大阪ガスだけでなく、地域の大学や行政、NPOや他の企業などにも、地域全体として、様々なかたちで関わっていただいています。
山本
子どもたちにとって、しっかりした指導者の下で、主体的に身体を動かすことができる環境を与えてもらえるのは、非常に意味のあることだと思います。そもそも、走るということは歴史が深いアクションです。動物行動学者が言うには、草食獣系は逃げるために走る、一方、肉食獣系は獲物を追うため、そういう気になった時だけ走る。
朝原
普段はだらっとしていても…。
山本
腹が減ってきたら走る。草食の方はいつも神経を張り詰めている。ところが、人間の走りはそのどちらにも属さない。人間的な思考や意志がないと走れない。子どもの頃に、それは自分で感じ取って身につけていくものでしょう。
弘本 そうですね、人は二足歩行で骨盤も大きくなく、子どもは小さく生まれます。未熟なまま世に出て、親や家族も関わる中で成長していく。独特の生活文化の中で、いろんなことを学びながら生きる能力を身につける存在ですね。
山本
自分の体験から言っても、幼稚園くらいの頃は、走って速い子はそれだけでみんなから尊敬された(笑)。生きる能力が高いようにも思えます。NOBYでも、子どもたちはそういう気持で入ってくるのでは。
朝原
中には走るのが得意でない子もいます。リレーなどをすると、周りから、おまえのせいで負けたとか言われてしまう。確かに能力は人それぞれですが、運動会とは違って、NOBYでは負けても楽しいんです。少しでも速く走れるようになってきたらもっと楽しい。