清水 朝一
2013年03月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
2013年03月01日 |
清水 朝一 |
住まい・生活 |
住生活 |
情報誌CEL (Vol.103) |
ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。
高齢化や未婚率の上昇とともに、単身世帯の増加が見込まれています。今後、住まいに対するニーズや住宅サービスはどのように変化していき、私たちはそれにどう対処していけばよいのでしょうか。今回は、住まいの面から世帯構造変化への対応に取り組んでいる、三井不動産株式会社 賃貸住宅事業部の清水朝一 統括にお話をうかがいました。
住まいに関する意識と世帯構造の変化
―最近の住環境や意識の変化について、どのように捉えていますか。
まず需要面では、「サステイナビリティ(持続可能性)に対する関心の高まり」が挙げられます。リーマンショックや東日本大震災等を経て、「安全・安心」や「環境共生」に対する意識が強くなっています。具体的には自家発電設備を導入した戸建住宅や備蓄倉庫、カーシェアリングなどを導入したマンションが増えています。震災による帰宅難民化を経験し、 通勤距離の長さ=リスクの一つ という考えも強くなっているようです。
また、生活者が将来の有事に備えておくことの重要性に改めて気づき、「つながりや絆」に目を向けています。特にマンション居住者の場合、地域コミュニティとのつながりの有用性が今まで以上に認識されつつあります。
一方、供給面を見ると、既築マンションのストック(在庫)が分厚くなり、都心をはじめとして、既存(中古)住宅市場が拡大しつつあります。マンションの仕様も向上し、永住するのに十分な品質を持った既存住宅が増えています。リフォームへの理解も深まってきており、昔に比べれば都心居住のコストはかなり低くなっています。
また、少子高齢化の影響で「世帯の小家族化」が進んでいます。東京都では、すでに全世帯の約4割を 単身世帯 が占めています。こうした小家族の増加は、ネットスーパーの普及や自動車保有率の低下など消費行動にも影響を与えていると考えられます。
単身者を理解するための3つの視点
―そのような単身者を、住まいという観点からどのようにとらえていますか。
単身者(single)という言葉の使われ方には、「一人暮らしをしている人(livng alone)」という居住形態を示す場合と、「独身の人(unmarried)」という婚姻状態を示す場合があります(図1)。
一般的に、「住まい」という視点から見た単身者は、‘一人暮らしをしている人’を指します。例えば、親元から離れて暮らす若者をはじめ、広義には、単身赴任者や、伴侶死別後の独居高齢者なども含まれますが、彼らは「独身の人」ではありません。