永田 宏和
2013年03月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2013年03月01日 |
永田 宏和 |
都市・コミュニティ |
まちづくり |
情報誌CEL (Vol.103) |
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濃密なコミュニティが成立しにくい現代の都市生活のなかで、いかにして地域の防災・減災力を高めていくのかは、今大きな課題となっています。そこで、アートやデザインの力を活用して防災・減災のためのツールや仕掛けの数々を開発している、NPO法人プラス・アーツの永田宏和氏を訪ね、東日本大震災以降のマンション開発などにおける新しい動向や神戸で始められている取り組みなどについてうかがいました。
―防災・減災への取り組みにアートやデザインの力を活かす
私たちNPO法人プラス・アーツは、阪神・淡路大震災の被災体験をもとに地震に対する考え方をまとめた『地震イツモノート』の企画や、防災・減災を楽しみながら学ぶイベントなどを、地域、学校、企業、マンションなど、これまでさまざまな場所で展開してきました。
私たちが第一に考えているのは、日々の暮らしの中で災害に備えるということ。ただ、それは簡単なように見えて難しい。そのため私たちは生活者の興味を引き、意識を高める手法として、アーティストやデザイナーの創意を活かした取り組みを開発してきました。
その基本は楽しみながら学ぶということ。例えば、子どもたちがおもちゃを取りかえっこする「かえっこバザール」というアート・プログラムと家族向けの防災訓練を融合した「イザ!カエルキャラバン!」では、子どもたちが、机の下敷きになった人形をジャッキを使って救助したり、バケツリレー競争や、消火器でストラックアウトのようなゲームをしたりします。楽しいイラストやキャラクターがいっぱいで、ゲーム感覚だから、子どもたちも本当に真剣で熱心です。数年前に始めたこうした試みは、今全国に広がっています。
私たちは、そこに、さらにまちづくりの視点を加えていこうと考えています。イベントのプログラムにしても、できあがったものとしてではなく、地域の人をまじえて現場で考えることで、そこの特性や、考えられる災害に応じて独自のものが生まれてくるわけです。
こうしたプログラムのもとになったのが、私たちが行った阪神・淡路大震災の被災者へのリサーチ。それを2007年にまとめたのが『地震イツモノート』です。ここには、実際に地震が起きた時に何が困ったのか? 現実の避難所生活はどうだったのか? その時何が役立ったのか? など、被災者の様々な本音や知恵が並んでいます。