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情報誌CEL

Dr. Ingrid Haslinger、山下 満智子、宇野 佳子

2013年03月01日

連載 食卓の喜び 第14回 祝宴の食卓(16世紀初めごろ)

作成年月日

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備考

2013年03月01日

Dr. Ingrid Haslinger、山下 満智子、宇野 佳子

住まい・生活

その他
食生活
ライフスタイル

情報誌CEL (Vol.103)

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祝宴の食卓(16世紀初めごろ)

―洗練され始めた中世の食卓―
 秩序なく山積みされた食べ物、肉の山、甘いものの山、人を驚かせるためだけの料理、古代さながらの新興領主たちの祝宴、度を越した無節操が中世の食事の特徴と言えた。しかし中世の終わりごろには、徐々に調理場や食卓が洗練され、凝ったソース類や多様な肉のラグーが供されるようになった。肉料理や魚料理の間には甘いものが出されるようになった。肉を禁じる断食日にさえ、食卓に実に魅力的な料理の数々を出す貴族の家もあった。「我々は、まずキルシュを飲み、それから真っ白なパンを食べた。また上質のワインもたっぷりと飲んだ・・・その後、ミルクで煮た若いソラマメ、魚とカニ、ウナギのパイ、ライスプディングにシナモンを振りかけてアーモンドを添えたもの、それから上等のソースを添えた焼きウナギ、丸パンとチーズ、そして締め括りには多くの果物を食べた。」

―見せるための料理―
豪華な見せるための料理が依然としてテーブル飾りとして好まれていた。料理長たちはそのレシピを多数考案した。特に費用がかかったのは「動物園」のレシピであった。「動物園を作るには、小麦粉と卵、それに肉や魚を使って、好みの動物を10 種類ぐらい作らなければならない。動物が逃げないように、レンガの塀、あるいはレンガがなければパンケーキの塀で囲むこと。それからその中には、塔を1つと通り抜けの道を1本作ること。塔の周囲に通路をめぐらせ、そこに、動物を見物したり捕獲したりしようとする女性や娘たち、騎士や騎士見習いを配置すること。動物園の外には溝を掘って、生きた魚を泳がせること。柵と溝の間には、リンゴやナシ、ニクズク、ナッツなど実のなる木を植えること。木の上にはリスや鳥を配置すること。動物園には門番を配置すること。これはできれば金で。」豪華な見せるための料理は、現実と空想、食べられるものと食べられないものとがうまく溶け合って、客の退屈しのぎとなった。これは食堂に運ばれて専用のテーブルの上に置かれ、客はいつでも好きなときに、この芸術作品に目を向けて楽しむことができた。

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