北海道農民管弦楽団
2013年07月01日作成年月日 |
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2013年07月01日 |
北海道農民管弦楽団 |
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.104) |
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農をなりわいとする人たちには、「農閑期」という余暇がある。この期間に集中的に練習し、年に一度コンサートを開くユニークなオーケストラが、北海道にあるという。余暇はいかにして芸術へと花開くのか。代表の牧野時夫さんにうかがった。
春先というのに、北海道・余市は一面の雪に覆われていた。真っ白な丘の斜面にサクランボの木が整然と林立する畑で、牧野時夫さんが枝の剪定に励んでいた。12月から翌年2月へと続いた約3カ月間の「農閑期」を終え、次の実りに向けての作業が始まっているのだ。
サクランボの他に、ブドウ、リンゴ、ジャガイモ、カボチャ、ダイズなど多品種の作物をすべて有機農法で栽培する牧野さんは、もうひとつ、別の顔を持っている。農業に関わる人を中心に結成された、ユニークな楽団の代表としての顔である。
農民だけのオーケストラ
「北海道農民管弦楽団」、通称「農民オーケストラ」は、1994年夏に結成され、20年近く北海道で活動を続けてきた。現メンバー約80人のうち、農業従事者が十数名、他に農業試験場の研究所員や農業改良普及員、大学の農学教師、農業を学ぶ学生などで構成されている。練習はもっぱら農閑期に行い、毎冬、年に一度のコンサートを開いている。 メンバーは道内中に散らばっているので、ひとたび練習となるや、遠く中標津や別海、美深など、何百?も離れたところから練習場所の札幌に集まってくる。全員が揃うのは難しく、11月頃から始められる、たった10〜12回の練習で本番にのぞまなければならない。集まる機会の少なさを補うべく、時に合宿を組み、本番直前の長時間練習を欠かさない。それでもメンバーが「オーケストラの活動が生きがい」「農閑期の活動が楽しみだから、春夏の仕事を頑張れる」と言ってくれると嬉しい、と牧野さんは語る。