碓田 智子
2014年03月03日作成年月日 |
執筆者名 |
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2014年03月03日 |
碓田 智子 |
住まい・生活 |
住宅 |
情報誌CEL (Vol.106) |
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住まいは、人権、衣食住の文化、健康、エネルギー・環境、情報、防災・減災、子育てなど、さまざまなものが横断的に関わり凝縮された場であり、次世代教育のための非常に豊かな教材といえる。今回は、住教育が社会の中でどういう役割を果たしているのか、また、住まいに関するリテラシーをどのように高めていったらよいのか、今後の課題も見据えて考えてみたい。
日本における住研究と教育への導入
今日、進む少子高齢化、一人暮らし世帯の増加、防災・減災への取り組み強化の必要性など、私たちの暮らしが抱える課題は非常に多い。生活や社会環境が大きく変化する中で、暮らしの場である「住まい」の設計・維持管理、そこで行われる住文化の創造と継承、住まいが集まってできるコミュニティの関係づくり(まちづくり)は、今後さらに重要視されるべき分野である。また、自ら住まいと環境に働きかけ、それを改善していこうという主体を育てるための次世代教育も、今まで以上に必要となってくるだろう。
住まいに関する教育について考える背景として、日本の第二次世界大戦後の住宅政策を簡単に振り返ってみよう。戦後すぐの1950年代は、圧倒的な住宅数の不足と、公衆衛生面等最低限の居住水準の引き上げが目先の課題であった。60年代の高度経済成長期から民間住宅の供給数が公共住宅を超えるようになり、70年代になると住宅数が世帯数を上回ることになる。住宅の質の向上、さらにはまちづくりへと政策の目標や人々の関心が移っていくのは、ようやく1980年代になってからのことである。このように、住宅政策そのもののレベルアップに時間がかかったこと、また庶民の住居に関する研究、すなわち住居学も戦後発達した比較的新しい分野でもあることから、住まいに関する教育の普及は新しいことといえよう。
学校教育における住教育の現状
住教育の普及にあたっては、学校教育、ことに家庭科教育と深い関連がある。
家庭科自体は、戦前は女性のみの教育で、戦後になっても小学校〜高校を通じて男女共修が実現するのは平成元(1989)年の学習指導要領改訂を待たねばならなかった。