加茂 みどり
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2014年03月03日 |
加茂 みどり
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住まい・生活 |
住宅 |
情報誌CEL (Vol.106) |
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集合住宅の新しいあり方をこれまでさまざまに提案してきた、大阪ガスの実験集合住宅「NEXT21」。東日本大震災を受けて、住居と自然、そして人と人とがつながる新たな集合住宅づくりのため、第4フェーズの実験が始まった。今なお進化を続けるその取り組みとは。
大阪ガス実験集合住宅NEXT21 第4フェーズ居住実験
はじめに
1993年に竣工した大阪ガス実験集合住宅NEXT21は、近未来の都市型集合住宅のあり方を、設備やエネルギーのみならず、住まいや生活といった視点からも考察・検証しようとする試みである。
地下1階、地上6階建ての住棟は、百年の長寿命を目指し、いわゆるスケルトン・インフィル方式により建設された。住戸や設備の変更・更新性を確保し、18住戸は、それぞれ異なるライフスタイルに対応した平面計画となっている。建設当初より燃料電池・太陽電池・蓄電池を含むエネルギーシステムを採用し、大規模な建物緑化も実施している。改修を重ねつつ、社員およびその家族による実際の居住のもとに、その時々の住まいを取り巻く課題をテーマとして第1〜3フェーズ居住実験を行い、昨秋、竣工後20年を迎えた。本稿では、2012年から2013年にかけて改修を行い、同年6月より開始された第4フェーズ居住実験について概要を紹介したい。
第4フェーズ居住実験のテーマ
第4フェーズの居住実験のテーマは「環境にやさしい心豊かな暮らし――人・自然・エネルギーとの関係が深化する都市型集合住宅――」である。議論の出発点は2011年3月11日の東日本大震災であった。大自然災害の前に、人の造った都市は一瞬で自然に飲み込まれた。自然と人工的な構造物・都市という対比は、そもそも空しい。また、人と人とのきずなや関係性、エネルギーの使い方や人とエネルギーの関係性など、震災によって顕在化、または再認識された課題は多かった。。そこで第4フェーズでは、人と緑・自然の関係性を改めて問い直した。テーマに付随するコンセプトを「人と自然の関係性の再構築」「人と人のつながりの創出」「省エネ・スマートな暮らしの実現」とし、計画検討を進めた。